畑のありんこ(281)

2013031610490000梅が咲いた。
馥郁としたいい香りに気持ちも和みます。

万葉集の時代には「有米」「烏梅」などと書かれ「うめ」であったものが、平安期以降には「むめ」と書かれることが多くなり、現在は再び「うめ」。
かなで書くと「うめ」ですが、発音をよく聞いてみると「ume」の人と、「mme」の人がいますね。
「め」(me)の「m」は唇をくっつけて発音するため、その音に引っ張られて音が変わってしまったと考えられています。
江戸時代の俳句などには「むめ」となっているものが多いです。
「うまい」とか「うまれる」も「u」ではない音で発音する地域が多いことも報告されているようです。
同様に「馬(むま)」、「茨(むばら)」などの古例もあります。

私たちはかならずしもかなの通りには発音していませんので、「とんぼ」も「tombo」と発音している人が多いはずですし、「とけい」も「t‘ke:」のように母音を落として言っている人もいます。
それだけの幅の音をちゃんと理解しているってわけで、人間の脳はエライ。

以前、人間は最初の文字と最後の文字があっていれば、少々順番が入れ替わっていても脳が自動修正してちゃんと読んでしまうという記事を読んだことがあります。

あまけして おでとめう ござまいす
こしとも よしろく おねいがましす

読めました? 不思議ですね。
ただ、知らない単語ばかりが並ぶ文章なら、そうはいかないかもしれませんね。

梅咲きぬ どれが梅(むめ)やら 梅(うめ)ぢゃやら    蕪村

(五日市教室A)