気になるニュース701回「共存共栄」

【問】

海外から価格の安い製品が輸入されるときに、自国の産業を守るため輸入品に税金をかけることがあります。この税金を何といいますか。

【答】

関税

1858年、日本がアメリカと「日米修好通商条約」を結びました。5年生の皆さんは、この条約は「領事裁判権を認めた」ことと「関税自主権がなかった」ことで不平等条約といわれたと学習しましたね。
安い外国製品がそのまま輸入されてしまうと、自国の製品が価格競争に負けて売れなくなり、結果として自国の産業が衰退する可能性があります。これを防ぐために一定の税率の「関税」をかけて価格競争できるようにします。

 アメリカのトランプ大統領は2月1日に、カナダやメキシコ産の製品に25%、中国産の製品には追加で10%の関税をかける大統領令を発令しました。この決定は、上記三か国からの不法移民が多いことや、不法薬物原料の流入に対する対抗措置だとしています。もちろん、それぞれの国も対抗措置をとると表明していました。また、日本の自動車会社も、カナダやメキシコに自動車部品の製造工場を有しているため、関税が上がると日本経済にも大きな影響が及ぶことになります。
 2月4日の段階で、トランプ大統領はカナダ・メキシコへの大統領令の実行を1か月ほど先延ばしすることを発表し、各国との交渉を継続するようです。

現代はグローバル社会といわれ、自国のことのみを優先するようでは、世界から孤立してしまう可能性があります。また、関税率が上がると、それは商品の価格に転嫁され、輸入品の物価が上昇したり、輸出品が売れなくなったりするなどして、一番困るのはその国の国民です。大統領として「アメリカ第一主義」を掲げ、自らの成果を誇りたい気持ちはわかりますが、早急な変化ではなく、共存共栄の精神で交渉し、互いの利益となる結論を探してほしいと願っています。

(己斐教室M)