大陸からの飛来物
【問】
中華人民共和国で大気汚染の問題が深刻化しています。
この大気汚染の原因とされる微小粒子状物質を何といいますか。
【答】
PM2.5
先日、テレビのニュースで見ましたが、中華人民共和国の首都ペキンでは、昼間であるにもかかわらず車がライトをつけて走行していました。
13日には、濃霧の中には有害物質が滞留(たいりゅう)し、中国当局が初めて外出をひかえるように警報を出しました。
町の薬局では、有害物質を防ぐマスクが売り切れてしまうほど。
この有害物質は「PM2.5」といわれています。
特定の物質をさすのではなく、大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒径が2.5マイクロメートル(=0.0025ミリメートル)以下の微細な粒子の総称です。
この大きさの物質は呼吸器の奥まで入り込みやすいため、ぜんそくや肺ガンの原因となるなど人体への影響が心配されているのです。
PM2.5の主な発生源は、ボイラーや焼却炉といったすすや煙を発する工場や、自動車の排ガスなどです。
しかし、この問題は中国だけにとどまりません。
風に乗って日本にも飛来しているため、環境省が汚染の観測局の増設や、濃度が高い場合に自治体による注意報・警報の発令を検討することを柱とする緊急行動計画をまとめました。
また、ホームページなどで「PM2.5」の観測データを公表し始めた自治体もあります。
現在、尖閣諸島の問題などで、中国と日本との関係が冷え込んでいますが、中国の大気汚染を改善するために、日本から中国に「大気汚染の防止や、環境改善のための手法」を伝えることはできないのでしょうか。
かつて日本でも、四日市ぜんそくや川崎ぜんそくなど、大気汚染が原因となる公害病が存在しました。
また、光化学スモッグが発生し、学校からハンカチで口を覆って下校した経験が筆者にもあります。
これらの反省から、日本は公害対策基本法や環境基本法などを定め、大気汚染をなくすように努力してきました。そして、各企業も公害を発生させないように、さまざまな対策を行ってきました。
そのノウハウを中国に伝えることで、お互いの国民が暮らしやすくなり、そしてそれは、両国の友好と発展に寄与する気がします。
両国の国民が安心して暮らせるように、早急な対策がとられることを願っています。
(五日市教室A)