【問】
ヨーロッパのある国で大統領選挙が行われ、現職の大統領が敗北し、17年ぶりに社会党所属の大統領が誕生しました。
ヨーロッパの農業国として、また原子力発電の推進国としても有名な、このある国の名前を答えなさい。
【答】
フランス
5月6日に行われたフランスの大統領選挙で、現職のサルコジ大統領(以下サルコジ氏)が僅差(きんさ)で敗北し、新しくオランド大統領(以下オランド氏)が選出されました。
サルコジ氏は、失業率(約10%)の改善に失敗したことと、ドイツが主導する「緊縮財政」に賛成している点で、国民の支持が得られなかったようです。
オランド氏は支持者の前で、
「ヨーロッパの多くの国では、財政緊縮が我々とるべき唯一の道ではないという考えに、安堵(あんど)と期待感が広がっていることと思う」
と述べました。
たしかに、同日に行われたギリシャ議会の総選挙では、EUからの金融支援と引き換えに、緊縮財政を進めてきた2大政党(新民主主義党と全ギリシャ社会主義運動)が大きく議席を減らしています。
ドイツのメルケル首相やサルコジ氏は、ユーロ圏の債務危機に対応するため、ユーロ加盟国に緊縮財政を呼びかけ、国家破綻(はたん)やユーロ離脱を防いできました。
ところが、フランスやギリシャの有権者はこれを拒否したのです。
だれしも税金が上がることや、我慢を強いられることに対して歓迎はできません。
ただ、お金は無限にわいてくるものでもありません。
もし、ギリシャや現在失業率が25%に迫っているスペインなどの経済が破綻したら、その影響は全世界に及びますし、当然、その国の国民は一番の被害をこうむります。
国がつぶれ、自国の通貨が紙くずとなり、海外との貿易もできなくなったとしたら、どうやって生きていくのでしょうか。
目先の幸せなことばにのみ耳を傾けるのではなく、何が本当に大切なのかを自分自身がしっかり考える必要があるように思います。
振り返ってみると、一向に消費税の増税論議が進まない日本。
原子力発電の是非や、代替エネルギーと、それに関わるコスト増をどうやって吸収するのかさえ決まらない日本。
フランスやギリシャの国民の選択をよく見て、よく考えて、自分たちの未来像を描かねばなりません。
(皆実教室M)