気になるニュース607回「よく使う食品の値段」

【問】

ロシアによる侵攻が続くウクライナで、ある農産物の収穫量が激減しています。ウクライナが世界的産地として知られる、うどんやパんの原料となる農産物とは何ですか。

【答】

小麦

ウクライナは一大小麦生産地で「欧州のパンかご」と呼ばれたこともあります。国土の6割がチェルノーゼムと呼ばれる肥沃な黒土で、第二次世界大戦中に侵攻してきたドイツがこの土を貨車で運び出そうとしたというエピソードが伝わるほど。この土から生み出される小麦は、今やヨーロッパだけでなく、アジアやアフリカなど世界各国に輸出されています。それがロシアの侵攻によって土地が被害を受けたり、農作業ができなくなったりして、収穫量が大きく落ち込んでいるのです。収穫できても、輸出ができないという時期もありました。

ウクライナからの小麦の輸出が減れば、直接多くを輸入してきた国々がまず影響をうけますが、それらの国々は他の地域から小麦を確保しようとするため、日本への流通量や価格にも影響が出てきます。日本国内で消費される小麦の約9割は輸入ですから、輸入価格が上がると、パンやうどんなどの小麦製品の価格も上昇することになります。主な小麦産地であるアメリカやカナダの近年の天候不良による不作が小麦の価格に影響してきましたが、今回のウクライナ情勢の緊迫化で、ロシアやウクライナからの小麦の供給不安が広がり、国際価格が上がっています。

また、「物価の優等生」と言われ、60年前から値段がほぼ変わらずにきた卵の値段も上がっています。家畜のえさとしても使われるトウモコロシも収穫が減っており、飼料代が上がっていることが一因です。あわせて今の鳥インフルエンザの大流行で、処分されたにわとりは15000万羽を超えており、卵の安定した供給が危ぶまれています。ひなから卵を産むようになるまでには時間がかかるからです。
身近な食物が、遠いと思っている国とつながっているのです。

(五日市教室A)