気になるニュース114回「軌道には乗らず」

【問】
ある国が、国際社会の反対意見に背を向けて、人工衛星の打ち上げを強行し、結果、失敗しました。
この国の名前を正式名称で答えなさい。
【答】
朝鮮民主主義人民共和国

4月13日午前7時39分ごろ、朝鮮民主主義人民共和国(…以下、北朝鮮と書きます)の西海衛星発射場から、「人工衛星の打ち上げ」という名目で、ロケットが発射されました。


このロケットは、上空120kmあたりまで飛んで爆発し、破片は大韓民国の西にある黄海に落下したようです。
人工衛星の打ち上げに使われるロケットは、ミサイルとして転用できるものであり、そこに核兵器を取り付ければ核ミサイルとなるため、世界各国はこれに対して強い懸念を示し、打ち上げの自粛を求めていました。
今回の打ち上げは、北朝鮮の新しい指導者になった金正恩(キム・ジョンウン)氏に対する権威づけのために行われたものでした。
また、前指導者である金正日氏の遺訓でもあり、さらに、同国の建国者である金日成氏の生誕100周年の祝賀行事としてもとり行われる予定であったため、北朝鮮における国威掲揚の最大の手段でした。
「核兵器」と「ミサイル」の2つは、北朝鮮が今後も国際社会で生き残るための最重要課題だと、同国では考えられています。
しかし、今回の失敗。
北朝鮮国内では、「地球観測衛星の軌道侵入は成功しなかった」として、現在原因を調査中であると報道されています。
この失敗が同国に与えた影響は、とても大きなものです。
先日、アメリカとの間で、ウラン濃縮作業を中止し、IAEAの査察を受け入れることで、食糧援助を受ける二国間協定を締結したばかりでした。
アメリカは態度を硬化させ、その他の国も北朝鮮を非難しているため、同国はますます国際社会から孤立化していくでしょう。
日本政府も国際連合の安全保障理事会などと足並みをそろえ、厳しい態度で臨む予定と言います。
落日の王朝が次に打つ手は、いかなるものなのか…
われわれも油断せず、見守らなければなりません。