気になるニュース第10回「自民民主大連立」

国会議事堂2.jpg【問題】
1940年、それまであった政党をすべて解散し、当時の近衛文麿(このえふみまろ)首相を中心につくられた、政府への全国民的協力組織を何といいますか。


【解答】
大政翼賛会(たいせいよくさんかい)

この夏の参議院議員選挙で、自由民主党(自民党)は歴史的な敗北をし、参議院での過半数が維持できなくなりました。
衆議院では、与党(自民党・公明党)が3分の2以上である327議席を得ているため、法案を通過させることができますが、参議院で否決されてしまい、内閣は政策の運営が困難な状況になっています。
たとえ参議院で法案を否決されたとしても、衆議院の優越があるため、衆議院で再可決することはできます。
しかし、安倍前首相が数の論理による「強行採決」をくり返したことで、国民への求心力を失ったことを考えると、福田首相は同じ行動を取ることは難しいでしょう。
11月1日に、テロ対策特別措置法の期限が切れたため、インド洋で給油活動を行っていた自衛隊は撤収(てっしゅう)しました。
もちろん、同盟国のアメリカは、早期の復帰を要求しています。
政府は「新テロ対策特別措置法」を可決・成立させて早期に自衛隊を派遣したいのですが、参議院での過半数割れによる「ねじれ国会」のため、非常に困難です。
また、「消えた年金問題」や進む高齢化社会など、これから増え続ける社会保障関係費の財源として、消費税率の引き上げも政府は検討しています。
これも早急に解決しなければならない問題です。
さらには、今後アメリカでの「サブプライム・ローン」(住宅ローンの1種。無理な貸し方・借り方をして返せない人が増えていることが問題となっている)の破綻(はたん)を原因とする、国際的な金融危機がおこることも考えられます。
そこで、福田首相は民主党の小沢一郎代表と会談し、「自民・民主」大連立をもちかけたのです。
小沢代表はこれをその場で拒絶せず、民主党にもちかえり役員会にかけたため、さわぎが大きくなり、小沢代表はその責任を取るということで、代表を辞任しそうになりました。
もし、この大連立が成立していたら、衆議院では480議席中440議席(自民296 公明31 民主113)、参議院では242議席中215議席(自民85 公明20 民主110)となって、政府与党の議席数が圧倒的多数となるところでした。
こうなってしまったら、政府の提出した法案は無条件で可決されるという、危うい状況になってしまいます。
反対意見はまず通らないからです。
そもそも「大連立」とは、普段は対立する大政党が、お互いに連立して内閣を作ることが必要であると考えるような政情のときにおきるのです。
たとえば、戦争や大不況のような国の危機があって、人々が個人個人の考え方の違いを超えて、国家の統一や安定を望む場合などです。
特に危機に対する最善の政策について、各政党間で幅(はば)広い政策合意ができている場合には成立しやすくなります。
しかし、この夏の参議院議員選挙は、自民党VS民主党という対立図式であったため、いま急に「大連立」といわれても違和感をおぼえる人が多いのではないでしょうか。
日本では、第2次世界大戦前の1940年にすべて政党が解散し、「大政翼賛会」という、首相を中心につくった政府の全国民的協力組織に組み込まれたことがあります。
この組織が国民を統制し、戦争に協力させていった過去があるため、今回の「自民・民主」大連立には、かなり強い抵抗があったとも考えられます。
結局、今回の「大連立」は流れてしまいました。
しかし、私たちが常に国会議員や内閣に関して注意を払っておかなければ、ある日おそろしい事態にまきこまれてしまうかもしれません。
政治に関心や責任を持つことは、主権者たる国民の務めといえます。
(M)
※この記事をUP後、大連立の提案者については小沢代表だった、ほかに仲介役が居たなど、さまざまな説がありましたが、明らかにはなっていません。(2008年1/23追記)
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