菜の花という音の響きはやわらかい。
「菜」という漢字が女の子の名づけに広く使われるのもうなずける。
春のイメージが明るく暖かいし、音もふんわりしているし、「花」の印象もある。
私も娘の名前の候補のいくつかにこの字の使用を考えていました。
彼女が春生まれだったらね、この字が使われていた可能性はかなり高い。
実は姪っ子の2人の名前には採用されております。
娘も大好きな、春のほろ苦さを味わえる身近な花です。
以前、大量に種をとって、菜種油の一番しぼり(!)を作成しようと試みたのですが、あえなく断念。
搾油機がないと厳しいっす。
菜種油はセイヨウアブラナの方ですしね。
今ではもっぱら食べる方(笑)。
古語ではおかず、副菜のことを広く「な」といったらしく、「菜」以外にも「魚」をあてている語もあります。イワナの「ナ」だろうし、くじらもいさなと呼んだらしい。
そもそも「さかな」も酒のおかずの「酒肴」からの転だときくし、それなら魚を表す「うお」と「さかな」と二つの語が並存している理由もわかる。
まないたの「な」もそうだ。
その代表的存在として考えると、ものすごい背景を背負った名前なのだ。
お見それしました。
娘と散歩に行くと、ウグイスが鳴きました。
田の畦を歩きながらヨモギを見つけた彼女は、「春のもの、ひとつみーつけた」と言い、歩きながら足元に鳴る草の音に「春の音だね、パパ」と言いました。
言葉が力を持つ、ということを改めて信じたくなるのは、こういう瞬間です。
すばらしい輝きを放つのですが、たまゆらに消えてゆく。
こういった言葉を聞き逃さないように…と思ったのでした。
また春がきたね。
希望の言葉を口にして、元気を授かっていこうね、みんな。
(五日市教室A)