気になるニュース 591回「瀬戸内海の資源」

【問】

煮干し(いりこ)に加工されることが多い魚ですが、広島では「こいわし」と呼ばれ、さしみやてんぷらで食べられることのある魚の正式名称は何ですか。

【答】

カタクチイワシ

カタクチイワシのみならず、イワシ類は肉食魚や海鳥のえさになったり、また人の食料となったりと重要な生物です。
卵からかえったばかりの小さいものはシラスといわれ「ちりめんじゃこ」に、そして少し育ったものはカエリといわれ「いりこ」に加工されています。
そのカタクチイワシのシラスの数が、瀬戸内海において2000年以降減少していっています。
そして今回その原因が、広島大学や愛媛大学などで構成させる研究チームによって明らかになりました。

原因は、「プランクトンの減少」で、それは産卵期を迎える春~夏にかけて特にみられているということです。
産卵期には、卵へ栄養をいきわたらせるために、多くのえさを必要としますが、その時期にえさがないため、卵の栄養分が少ない状態になってしまっているらしいのです。
そのため、産卵数に対してシラスの数が少なくなり、またそのシラスも成長が悪いという現象がみられているそうです。

1973年に制定された瀬戸内海に関する法律では、公害による汚染を防ぐために、「きれいな海」を目指してきました。
ところがきれいになった瀬戸内海では、「栄養不足」によりプランクトンが減少しているなどの問題が起こるようになりました。
そこで2021年からは「豊かな海」を目指すという目標に変えられました。
この瀬戸内海が豊かな海となり、人と自然がうまく共存できる環境になればよいですね。

(西条教室N)