気になるニュース110回「2-1=1?」

【問】
橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」が作成した、次期の衆議院議員選挙に向けてのマニフェスト(政権公約)の骨格が明らかになりました。
その中で廃止がうたわれている、国会のもう一つの議院を何といいますか。


【答】
参議院

過激な発言とパフォーマンスで人気を得ている、橋下徹大阪市長。
その橋下氏が率いる「大阪維新の会」が、次期衆議院議員選挙に向けて、マニフェストの骨格が明らかになりました。
坂本龍馬をまねて、「船中八策」と名づけられたそのマニフェストの中には、憲法や統治機構の改革、社会保障制度などの8項目の柱があり、憲法に関する項目の中に、首相の公選制(総理大臣を選挙で選ぶ制度)とともに参議院の廃止がうたわれていました。
日本の国会は現在、衆議院と参議院の二院で成り立っています。
これには、審議をより慎重に行うことで、国政において誤った決定がなされないようにするという目的があります。
反面、現在のように衆議院と参議院で与党と野党の議院割合が違う「ねじれ国会」となると、なかなか物事が決まらないという欠点もあります。
また、議院が二つあるということは、国会議員の数もそれだけ多く必要で、経費(税金から出ています)も二倍必要ということです。
しかも一人あたり年間ざっと数千万円かかるという計算もあります。
ただでさえ、経費節減が必要な日本の財政において、国会議員の定数削減は必要不可欠な問題ともいえます。
橋下市長が主催する「維新政治塾」には3300名以上の応募者もあり、現在ちょっとしたブームとなっている感があります。
ただ、冷静にみて、過激で実現不可能に思える政策が入っており、注目を浴びるためのアドバルーン的な印象も否定できません。
急激な改革には大きなリスクが存在します。
衆議院と参議院、二つあるから選挙も二回あり、国民は前回の選挙で選んだ政党が、どのような政策を出し、どんな政治を行ったかによって、次の選挙で投票する政党を選べるわけです。
「ねじれ国会」の状況がおきているとすれば、それは前回の衆議院議員選挙で大勝した与党の政策に国民が納得していないということ。
その安全装置が「参議院」と言えるのではないでしょうか。
もちろん、橋下氏も今回の骨格どおりにすべて決定するというつもりはないでしょうし、今後、マニフェストの骨格は、橋下氏の「維新政治塾」で議論が交わされる予定だということです。
しっかりと議論して、国民にとって本当に実のある提案がなされることを期待します。
6年生は歴史の学習が終わると、政治の学習に入ります。
政治は私たちの生活に、直接関係する大切な分野です。
日々のニュースをよく見て、よく考え、自分なりの意見を持つようになってくださいね。
(皆実教室M)