気になるニュース98回「絆なき連帯」

【問】
ヨーロッパのある国の首都で若者を中心とした暴動が起こり、町並みが破壊されたり、商店が襲われ略奪が起こったりして大きな問題となっています。
2012年にオリンピックが開かれる予定のこの国の首都はどこですか。


【答】
 ロンドン

ロンドン北部のトットナムで、8月6日夜に、警官による地元男性の射殺に抗議する群衆の一部が暴徒化し、警官が襲われ負傷、商店などが略奪されたほか、放送局の車両も襲撃されるという事件が起こりました。
ロンドン市内で警官が銃器犯罪を捜査中に黒人男性に発砲し、その男性を射殺したことがきっかけで、人種差別に対する抗議集会が開かれ、そこで暴動が発生しました。
その後、ツイッターやフェイスブックで暴動への参加が呼びかけられ、多くの若者がこれに参加し、大きな騒ぎとなりました。
海外で休暇中だったキャメロン首相は、この事件を受けて緊急帰国し、警官の大量動員を指示して、なんとか騒ぎは鎮静化しましたが、この騒動の逮捕者は1300人を超えたようです。
暴動の背景には、貧富の格差への不満や、20%を超える若年層の失業率などがあるのではといわれています。
政府が力で押さえつけるだけでは、なかなか問題の根本的な解決にはならないでしょう。
しかし、貧富の格差や高い失業率だけが、騒ぎが大きくなった原因なのでしょうか?
アメリカでは最近、「フラッシュモブ」と呼ばれるタイプの略奪行為が増えています。
これは、ツイッターやフェイスブックで略奪行為を呼びかけて、大勢で一緒に犯罪を行うという新しいタイプのものです。
インターネットにおける匿名性と、「みんなでやればこわくない」という安易な意識が、こういった犯罪を助長していると思えます。
コンピュータの発達で、他人とのつながりが簡単に持てるようになった代わりに、希薄な人間関係が形成され、安易な同盟意識が作られる。
「付和雷同」ではありませんが、安易な意識の元に行動し、結果として他人を傷つけたり、罪を犯してしまったりすることもある。
このような恐れがあることを十分意識して、コンピュータとの付き合い方も考えなければならないと思います。