気になるニュース565回「長い国境線」

【問】

ロシアのウクライナ侵攻によって危機感を覚えた北欧の国がNATO(欧米を中心とする軍事同盟)に加盟を申請しました。ロシアと1300kmにわたって国境を接しているこの国はどこですか。

【答】

フィンランド

5月18日、フィンランドとスウェーデンは同時にNATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請しました。
NATOは、第2次世界大戦後の冷戦(東西対立)の状況から生まれたアメリカやヨーロッパ諸国が中心となって結成された軍事同盟です。加盟国が攻撃を受けた場合、全加盟国に対する攻撃とみなして反撃を行う「集団的自衛権」を北大西洋条約に明記しています。(集団的自衛権という言葉は6年生のみなさんは学習したばかりですね)

ロシアと地続きで国境を接するフィンランドは、歴史的ないきさつからロシアとの対立を避けるためNATOには加盟せず、中立の立場をとってきました。
ロシアはかねて、NATOを安全保障上の危険材料と考えてきましたので、NATO加盟諸国との間に位置する中立のフィンランドがクッション代わりになっていたわけです。これを緩衝(かんしょう)国といいます。これを失うと、直接対立国と国境を接することにもなり得るわけで、これは避けたい状況です。ロシアのプーチン大統領も、今回のウクライナ侵攻の理由のひとつに、ウクライナがNATO加盟を示唆したことを挙げています。

フィンランドは、今回のロシアのウクライナ侵攻を受け、このまま中立を維持しても国の安全保障を確保できないという判断を下しました。その隣国、海をへだててロシアと隣あわせのスウェーデンも同様にNATO加盟を申請しました。これがヨーロッパの安全保障地図を大きくぬり変えてしまうことは間違いないでしょう。
クッションを失ってしまったロシアはかえって自らの危険度を増す行動をとってしまったともいえるわけです。ロシアの今後の動きが不安です。

(五日市教室A)