ゴマダラカミキリが庭にいた。
ミカンやクワを食害するので、畑主としては捕殺するべきなのでしょうが、つい子どものころの目で見てうきうきしてしまう。
敷地の隅にタカサゴユリが咲いている。
去年は1本で、花も3つくらいでしたが、今年はじゃんじゃか蕾をつけている。
白くて高貴な感じはテッポウユリに似ています。
香りは…いいですよ、それなりに。
このユリはいわゆる「のらばえ(野良生え)」ですね。
方言では「じねんばえ(自然生え)」とも。
大学のころ、広島や山口のあちこちに方言調査に出かけましたが、当然夏休みを利用して行うわけで、暑い日差しや熱を持った道路脇に生い茂るクズの葉、群生しているユリの白い花、よろず屋で買って飲んだ牛乳の味、島の空気、きれいな夜空、と次々に懐かしく思い出します。
教え子の一人が今方言の研究をしているのですが、この夏も調査に行くらしい。
いいなあ。
言葉の研究って、楽しいんですよ。
山を越えると語彙やアクセントが変わったり、年令によって使い方が違ったりと、言葉の変容を目のあたりにしてわくわくしていた気持ちを思い出します。
ゴマダラカミキリを虫かごに入れておいたら、ちびちゃんが喜んでさわってました。
それが、突然泣き声に変わった。
聞いてみたら、「触角をさわってたら噛まれた」。
そうやってつきあい方を覚えていくんだろうなあ(笑)。きっと自分もそうだったのだろう。
こんなふうにして身のまわりのものとのつきあい方を教えたいと思ってます。
野菜や花を育てて一緒に食べたり、世話のしかたを教えたり、そして同じものを眺めて話をしたり…そのうちこんな時間を共有できなくなっていくでしょうね。
でもいつか心に積もったこんな時間が、彼女の生き方の底でひっそり息づく…そんなことを夢みてます。
(五日市教室)