【問】
ロシアでは、猛暑による干ばつや森林火災の影響で、ある穀物の収穫量に大きな影響が出ています。
このため、年末までこの穀物の輸出を禁止することにしました。
この穀物とは何ですか。
【答】
小麦
今年の夏は連日猛暑が続いています。
甲子園でもかちわり氷がとぶように売れており、日本各地でも連日最高気温が更新されています。
日本の北にあるロシアでも記録的な猛暑にみまわれ、自然発火による森林火災が各地で発生しているそうです。
そのため首都モスクワでは、森林火災による煙で視界不良となり空港が混乱しています。これを受けヨーロッパの一部の国やアメリカでは、ロシアへの渡航をしばらく見合わせるようにという勧告が出されているようです。
この猛暑による影響は、森林火災だけにとどまりませんでした。
干ばつによる穀物への被害も深刻化しています。
ロシア政府は、穀物の作付面積のおよそ20%が干ばつによる影響を受けているため、小麦の輸出を12月末まで禁止すると発表しました。
世界第4位の小麦輸出国であるロシアの輸出禁止の発表は、小麦の国際市場に影響を与え、米シカゴ市場では小麦価格が高騰(こうとう)しているようです。
思い起こせば、2008年にはオーストラリアなどの干ばつや、バイオエタノールを作るために小麦からとうもろこしに転作した農家が多数出た影響で、世界的に小麦の価格が高騰し、日本でも、うどんやラーメンなどの麺類やパンの価格が上がったことが思い出されます。
また、カップラーメンも内容量を減らしたものが発売されました。
日本の小麦の輸入量は年間約500~600万トンで、このうちの約55%をアメリカから、約25%をカナダから、そして約15%をオーストラリアから輸入しています。
ロシアからの輸入はほとんどないようですが、世界的に小麦価格が高騰すれば、日本にも影響があるはずです。
ロシアから小麦を輸入していた国が、他の国へ小麦を求めるだろうからです。
もっとも、世界最大の穀物輸出国であるアメリカは、今年は豊作であるとの見込みもあります。
いずれにしても、食料自給率約40%、小麦の自給率が約14%の日本にとっては心配な話題ですね。
(皆実教室M)