【問】
原爆投下後に放射能をふくむ雨を浴びた人たちが、被爆者手帳の交付などを求めた裁判で、広島地方裁判所は、広島県と広島市に手帳の交付を命じる判決を出しました。この雨のことを何とよびますか。
【答】
黒い雨
1945年(昭和20年)8月6日の原爆投下後、まきあげられた砂やどろ、すすや放射能をふくむ激しい雨が降りました。
この雨に打たれた人は、雨にふくまれる放射能が原因で、髪の毛がぬけたり、歯ぐきから出血したり、大量に血をはいたりしたといわれています。
長崎でも、黒い雨が降った記録が残っています。
国はこれまで、黒い雨が激しく降った地域に限って、援護の対象としてきました。
黒い雨を浴びて健康被害があった人でも、この地域以外だったとして手帳の交付を却下されてきました。
広島県と広島市が2008年に行った調査結果では、国が定めた地域の6倍の範囲に黒い雨が降ったことがわかっています。
それ以外の地域の人にも手帳の交付を認めた今回の判断は、評価できるものです。
が、戦後75年たっていることを考えると、戦争のもたらす有形無形の傷が、いかに深く、なくならないものであるかをあらためて思い知らされます。
(五日市教室A)