気になるニュース第7回「値上げだ」

ガソリンスタンド画像.jpg今年から来年にかけて、さまざまな品物が値上げになります。
ガソリン代が上がってきていることは知っているかもしれませんが、それだけではありません。ティッシュペーパーはすでに値上げされていますし、食料品も値上げになります。


今回は、わたしたち消費者にも非常に身近な話題です。
(ものの値段をきめる要素)
ものの値段は、さまざまな要素によって決まります。
大きいのは、もちろん品物の原料代です。
が、それ以外にも原材料を運んでくる燃料代、品物を作る機械の値段や労働者に支払う賃金、広告にかかるお金やその品物を運ぶ運賃などが関係します。
単純にいえば、これらのうちどれかの値段が変われば、品物の値段も変わることになります。
こうしたことに加え、需要と供給の関係によっても値段は上下します。
ほしい人が多いのに品物の数が少なければ値段は上がるし、逆に品物の数が多すぎるときには値段は下がってしまうわけですね。(6年生はWIN3 P60~61を見てね。)
(社会のしくみとものの値段)
ですから、なぜこの品物が値上げに? と考えると、社会のしくみが見えてくると思います。
以前、群馬県の浅間山が噴火し、山麓(さんろく)の嬬恋村のキャベツが大被害を受けたとき(2004年)には、首都圏に供給されるキャベツの量が減ったために、広島のお好み焼き屋が困った、といったニュースがありました。
キャベツが品薄(しなうす)になったためにキャベツの値段が上がり、キャベツを大量に使うお好み焼き屋がその値上がり分で影響を受けたわけですね。
単純に「キャベツが値上がりしたので、お好み焼きも値上げします」だと、お客さんが減ってしまうでしょう。
(今回の値上げの原因は)
さて、今回の値上げ。
即席めんやスパゲティ、うどんなどの値上げを例にとりましょう。
大きいのはやはり原料の小麦価格の値上がりです。
日本が多く小麦を輸入している国のひとつ、オーストラリアでは二年連続の不作です。
さらにバイオ燃料需要の増加で、小麦に代わってトウモロコシを生産する農家が増え、小麦を作る農家が減った、という理由もそれを後押ししています。
小麦の量が足りないわけですね。
さらには、その小麦を日本まで運んでくるための船の燃料代の高騰(こうとう)もあります。
何しろ日本は食料自給率約40%(今年、39%という発表がありました)の国ですから、この輸送のための燃料代は泣き所です。
また、製品を包装するポリエチレンやポリプロピレンといった化合物も原料は石油です。
これも高値となっているので、複合的な要素が存在している値上げなのです。
肉類は飼料(えさ)代が値上がりし、さらには中国などで肉の消費が増えたためにやや品薄になっています。
また、BSE(狂牛病)の発生以来、安全と健康志向の風潮にのって欧米では魚食ブームとなっており、マグロやカツオなどは日本に回ってきづらくなってきています。
(企業・政府・わたしたちにできること)
もちろん、さまざまな品物を作っている企業の側としても、「はい、値上げです」とは簡単に言いづらいところがあります。
値段を上げれば、当然、消費者は買わなくなりますからね。
ですから、ある程度は色々と工夫して値上げをしなくてもすむように努力します。
たとえば、輸送方法を効率化して、運賃分を値下げしてさしひきゼロにもっていく、とか。
また原材料の値段が先々値下がりする見込みがあれば、今はちょっと我慢してそのままの値段でいこう、という判断になることもあるでしょう。
他にも、値段は変えずに、製品を減量することで対応することもできます。
10本入りだったものを9本入りにすれば、実質約1割の値上げに相当しますね。
値段が変わらないということで、消費者の抵抗も少ないかもしれないからです。
また、小売店も特売の回数を減らしたり、割引率を下げたりということで、何とか消費者への影響を少なくしよう、とする所もありそうです。
東京など首都圏と地方とでは、景気の上昇実感も異なり、格差もありますから、全国一律に値上げ、というのはなかなか難しいところでしょう。
それでも、生活に打撃があるのは間違いないところです。
地球温暖化防止ともつながりますが、電気の節約、自動車の使用を減らす、食材をむだに多めに買わない、品物は最後まで使い切る…できる範囲のことをしていきたいですね。
まずは食料の自給率を上げる政策を積極的にうってほしいと切実に思います。
外国から輸送してくるための燃料代のことを上に書きましたが、それは地球温暖化を促進していることにもなっているわけですから。
また、「地産地消」という言葉のとおり(今年の女学院中学の入試問題に出た用語です。アイルでは授業で確認済みでした!)、地元で作ったものはできるだけ地元で消費することも心がけたいですね。
(A)
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