【問】
2003年5月にうちあげられた小惑星探査機が、何回ものトラブルにたえ、このたび7年ぶりに地球に帰還し、感動をもってむかえられました。
この探査機の名前は何ですか。
【答】
はやぶさ
「はやぶさ」は、小惑星の探査を目的として開発された探査機です。
今回のミッションで探査するのは、地球の軌道と似た軌道を持つ「ITOKAWA」(イトカワ)と名づけられた小惑星(日本のロケット工学の父といわれる糸川英夫氏にちなんで命名されました)です。小惑星までイオンエンジンを使った飛行を行い、小惑星の表面から、物質のサンプルを持ち帰ることを目的にしています。
人類がこれまでにサンプルを持ち帰った天体は月だけですが、太陽系初期のころの物質について研究するために、惑星が誕生するころの様子を比較的よく残している天体である小惑星からサンプルを持ち帰ろうというものです。
もしこれが達成されれば、惑星を作るもとになった材料についての手がかりなどが得られますし、地球上でサンプルの分析がしっかり行えます。
「はやぶさ」は2003年5月9日に打ち上げられ、小惑星「イトカワ(1998SF36)」に向かって出発しました。2005年9月にイトカワに到着。 同年11月末には予定どおりイトカワへの降下着陸を敢行、試料採取のためのタッチダウンに成功しました。
ところが、離陸直後、姿勢制御用の化学エンジンが燃料もれを起こし、そのショックで姿勢が乱れたために、通信ができなくなってしまいました。
通信ができないということは、この広い宇宙空間の中では行方不明も同然です。こういった無人探査機にとって「姿勢」は非常に重要で、太陽電池パネルに日光が当たらないと、電力不足になり、アンテナが地球の方向に向かなければ、交信できません。
行方不明から7週間後。宇宙の雑音の中から、管制室がはやぶさの出す微弱な信号をとらえます。回転していたはやぶさのアンテナが、たまたま地球へ向いた瞬間の信号をとらえたのです。
「意地と忍耐と神頼みの日々だった」(川口淳一郎教授)。
しかし、交信は20秒つながると、次の30秒は通じない状態でした。そこで、20秒に収まるように小刻みに指示を送り続けたのだそうです。
さらに、イトカワ離陸後の燃料もれのため、推進力の強い化学エンジン12基がすべて故障してしまったことも困難に拍車をかけました。
そこで、長距離を航行するためのイオンエンジンで代用したのですが、予想よりも長い時間がかかっているためもあってか、イオンエンジンも4基中3基まで故障。故障した場所のちがう2基のエンジンをつなぎあわせて1基とするなど、科学者たちも工夫に工夫を重ねて、もはや絶望と思われた「はやぶさ」の帰還を奇跡的に達成したのです。
予定より3年長くかかって帰ってきた「はやぶさ」は、6月13日にカプセルを分離し、日本時間同日23時頃大気圏に突入しました。
本体は大気圏との摩擦で燃え尽きてしまいながら、貴重なサンプルを地球に届けてくれた「はやぶさ」。
長旅、ご苦労様。
よくがんばったね、と声をかけてあげたいという感想がネット上や新聞紙上をにぎわわせていました。
人類の技術はすばらしいですね。
私も勇気をもらいました。
(五日市教室A)
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