気になるニュース第433回 「ついに完全養殖へ」

【問】

水産業では「とる漁業」から「育てる漁業」へとシフトしてきましたが、長年ある魚の完全養殖に成功できずにいました。
最近ようやく、完全養殖への道が見えてきた魚とは何でしょうか?

【答】

うなぎ

社会の授業では、静岡県浜名湖がうなぎの養殖で有名と習います。しかし、この養殖というのは、シラスウナギといううなぎの稚魚をつかまえて、これを大きくなるまで育てるというものでした。完全養殖とは、受精→レプトケファルス(うなぎの仔魚)→シラスウナギ(うなぎの稚魚)→うなぎと育っていく工程を全て人の手で行い、さらにそうして育った養殖うなぎからとれた卵で次の養殖うなぎを育てることをいいます。

シラスウナギからうなぎへと育てることは以前から行っていましたが、大変だったのは残りの部分です。まず受精させる段階でもホルモンバランスを取るために特殊な餌を与えることが必要でした。しかし、コストの問題などはありましたが、ここについては1970年代にクリアされました。今年になってついに成功したのは、レプトケファルスからシラスウナギへと成長させる部分です。
 
レプトケファルスは長年餌すら不明とされてきました。今回発見された餌は、なんとサメの卵。それをポタージュスープ状にしたものを、2時間おきにスポイトで流し込むという繊細な方法で成長を促せることがわかりました。ただし、これで問題が解決したわけではなく、うなぎは普通に育てるとほとんどがオスになってしまうなど、気をつけることが山積みなのです。近畿大学のまぐろのように安定供給への道が開けていくとよいのですが。

(五日市教室T)