【問】
中東のカタールで開かれている,「ある条約」の締約国会議で,大西洋・地中海産クロマグロの国際商取引禁止問題の議論が始まりました。
絶滅の恐れのある種を保護する目的で採択されたこの条約を何といいますか。
【答】
ワシントン条約
この条約は、1973年3月3日,アメリカ合衆国のワシントンD.C.で採択された条約で,野生動植物の国際取引による乱獲を防ぎ,種が絶滅しないように,国際取引を規制するものです。
絶滅のおそれのある動植物の野生種を,その希少性に応じて3ランクに分類し,これらを条約の附属書I,II,IIIに分けてリストアップします。現在約30,000種の動植物の取引が制限されています。
今回,カタールで行われているワシントン条約締約国会議では,大西洋・地中海産クロマグロを,絶滅の恐れのある種が対象の「付属書I」にのせ,商業目的の国際取引を禁止しようという「モナコ提案」が可決されるかどうかに注目が集まっています。
絶滅の恐れのある野生動植物のことを,英語で「レッドデータアニマルズ」と呼ぶことがありますが,ワシントン条約の附属書リストに登録されている生物種は,国際団体や原産国によって,「レッドデータブック」に登録されている種と一致するとは限りません。
これは,ワシントン条約自体が,あくまでも経済活動としての国際取引によって,種の存続が脅(おびや)かされる生物の保全を目的とするためです。
マグロといえば,日本の輸入魚介類の第1位でしたね。
回転寿司などでも大人気ですが,もしクロマグロが輸入禁止になったらどうなるのでしょうか?
水産庁の調べでは,日本国内のマグロの年間消費量は,平成20年で約41万トン。
このうちクロマグロは1割程度で,大西洋・地中海産はクロマグロ全体の約50%弱です。
もちろん太平洋で獲れたクロマグロもありますし,他にもミナミマグロやメバチマグロなどの輸入もあるため,急にマグロ不足になることはありません。
さらに,景気低迷のせいでマグロが市場に余っているため,すぐに値上がりすることはないという意見もあります。
ただ,中長期的には価格面への影響はあると思われます。
禁輸によってマグロ全体が投機の対象となるおそれもあり,クロマグロの半分から3分の1の値段のメバチマグロやキハダマグロなども値上がりする可能性がありそうです。そうなった場合,家庭の食卓にも影響が出てきますね。
乱獲は許されないことですが,捕鯨問題やクロマグロの問題など,他の命をいただいて生きている私たちにとって,生物の種の保存と自分たちの食文化について,きちんと考えて行動せねばならないと思います。
(皆実教室M)
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