「円周率が3より大きいこと右の図を用いて説明しなさい。ただし、円の半径は1cmとします。」
前回に引き続いて、今年度の修道中で出題された問題を取り上げます。
円周率というのは円の円周の直径に対する割合のことです。
これがどんな円でも一定の値になることは古代より知られており、その大きさがほぼ3くらいであることもわかっていたようです。
さて、今回は円に内接する正六角形を利用します。
まず、正六角形の対角線を結んで、合同な正三角形6つに分割します。
円の半径が1cmですから、正六角形の1辺の長さも1cmになります。
したがって正六角形の周の長さは1×6=6(cm)です。
円の直径が2cmですから、正六角形の周の長さは円の直径の3倍ですね。
また、正六角形の1辺とその外側にある円の弧の長さを比べてみましょう。
2点を結ぶ最短距離は直線ですから、弧の長さは1cmより長くなります。
したがって、円周の長さは6cmより長くなりますから、円周の長さは直径の3倍より大きくなります。
よって、円周率は3より大きくなるのです。
円に内接する多角形の1辺の長さから、円周率を計算する方法を「多角形近似法」といいます。
天才数学者アルキメデス(紀元前287年~212年)はこの多角形近似法を使用して、円周率の値を計算したそうです。
円周率の正確な値を求める努力はそれ以降ずっと続き、W.Shanks(1812-1882)という人にいたっては、一生をかけて小数点以下707けたまで計算したそうです。
現在ではスーパーコンピュータを使って、なんと2兆けたを超えるところまで計算されています。
ちなみに、3月14日は、円周率の近似値3.14にちなんで「円周率の日」だとか。
最後に1問、大学入試の問題を紹介しましょう。
「円周率が3.1より大きいことを証明しなさい。」
シンプルですが、実はこれ、日本の最高学府のなかでもトップの座を誇る東京大学の入試問題なんですよ。
でも、この問題を解くための基本的な考え方は、先に挙げた修道中の問題と変わりません。
円に内接する多角形の1辺の長さを考えることによって説明できるんです。
算数の問題が大学入試につながっているってこと、覚えておこうね。
(横川駅前教室S)