気になるニュース第6回「中国問題」

中国.jpg日本に大きな影響をあたえた国は? と聞かれて、真っ先に思い浮かべる国はどこだろう。
アメリカ? 韓国? 
人さまざまだろうが、歴史的にみて最も大きな影響をあたえた国は、中国ではないだろうか。


漢字や元号、都の造営、政治システムなど、日本は多くのことを中国から学んでおり、母なる国といってもいいのだ。
その中国に関して、最近気になるニュースが多い。
◇◇石景山遊楽園◇◇


まずは、“偽ディズニーランド”といったとりあげられ方をした『石景山遊楽園』。
遊楽園のキャラクターの中には、「ミッキーマウス」「ドナルドダック」「くまのプーさん」「白雪姫と七人の小人」など、ディズニーキャラクターや、「バッグス・バニー」などワーナー・ブラザーズのキャラクターによく似たものが見られると、日本のニュースにしばしば登場した。
さらには、「ハローキティー」や「ドラえもん」もどきまで! 
アトラクションも「ディズニーの雰囲気を備えたジョーンズの冒険」や「ヨーロッパ調の幽霊の邸宅」など、ディズニーランドとよく似たものが多かったようだ。
遊楽園側は、「ディズニーランドは遠すぎる。石景山遊楽園にいらっしゃい」をキャッチフレーズに、当初は堂々と営業していた。
しかし、報道によって各国の批判が高まった後は、キャラクターを中国伝統の動物の着ぐるみに変え、『そっくりキャラクター』の展示物等も撤去(てっきょ)することとなった。
このような状況の背景には、中国の「コピー文化」とよばれるものがある。
上海自動車ショーなどで、日本やヨーロッパの車にそっくりな中国製の自動車が発表されたりするのも、その好例だ。
今後は“著作権”に関して厳しいチェックがされることも予想され、中国にも、国際社会における大国としての意識や行動が求められるだろう。
覚えてほしい言葉としては、「海賊版(さまざまな作品を著者や出版社の許可を受けずにコピーしたもの)」がある。
◇◇中国産うなぎ◇◇
夏の食卓をかざるスタミナ食といえば、“うなぎのかば焼き”が思い浮かぶ。
ところが、今年、中国産加工うなぎから検出された合成抗菌剤(こうきんざい)エンロフロキサシンが安全基準量を上回るというニュースが、世界をかけめぐった。
この合成抗菌剤は、豚やうさぎなど哺乳類動物に使用されるものだが、投与によって皮膚疾患(ひふしっかん)、嘔吐(おうと)などの副作用も報告されている物質である。
加工うなぎ輸入量の大半を占める中国産は、過去にもメチル水銀や合成抗菌剤のオキソリン酸やスルファジミジンなどが許容量以上検出され、消費者から輸入うなぎが敬遠される原因となっていた。
これは、できるだけコストをかけず、大量に商品を生産するという、中国に限らない現代の食品産業のゆがみが引き起こした事件なのかもしれない。
日本と中国との貿易額は年々増加し、財務省発表の貿易統計によれば、2004年一年間の日本の貿易額において、中国がアメリカを抜いて初めて最大貿易相手国となったと記されている。
アメリカでは“チャイナフリー(中国製品を含まない)”ということが、消費者の選択条件のひとつになる風潮もあるそうだ。
しかし、電池・家電から衣類・食料品まで中国製品が溢(あふ)れている日本では、とうてい無理な話だろう。
話題となった“ダンボール入り肉まん”は作り話だったということだが、日本人も単なる「食料の確保」ではなく、「安全な食料の確保」を考えなければいけない時代になったということだ。
また、そういう監視の目を、政府も、そして消費者も求められる時代でもある。
◇◇世界最大の二酸化炭素排出国◇◇
「中国が、米国を抜いて、世界最大の二酸化炭素排出国になった」と、オランダの政府系環境評価機関が発表した。
2006年度の比較では、米国の二酸化炭素排出量が58億トン、それに対し中国の二酸化炭素排出量は62億トンだとされている。
以前は、中国が米国を上回るのは数年先と言われていた。
二酸化炭素排出量の増えた原因としては、発電のための石炭需要の急増や、セメント生産の拡大などがあげられる。
北京オリンピックを2008年に控(ひか)え、ますます建設ラッシュ、工業化の一途をたどる中国。
二酸化炭素排出量が世界最大となれば、地球温暖化対策をめぐって、中国の果たす役割についての議論が、さらにさかんになるだろう。
◇◇大気汚染◇◇
その北京オリンピックを控えた中国で、現在大問題となっているのが大気汚染だ。
“青空計画”といって、北京市など中国の都市で、大気汚染を解消する主旨(しゅし)の環境運動が展開されている。
北京市の場合、青空運動(年間を通じて65%の日に『青空』をもたらそう)が提唱されたのが1998年。
当時、青空が観測されたのはわずか100日/年程度で、大気汚染に対して危機感を持つ人が増えていた。
また、1990年代後半は、北京五輪の招致(しょうち)活動が本格化していたこともあり、環境問題の改善が招致成功の一つの鍵(かぎ)になるという認識も強かった。
しかし、現在は目標達成が困難な情勢である。
工業の発展と自動車の普及、さらには北京オリンピックに向けての建設ラッシュなど、状況を悪化させる要因のほうが多いのが頭痛の種となっている。
国際オリンピック委員会のジャック・ロゲ会長は、「北京市の空気が悪ければ、一部の種目は延期して行う可能性がある」とまで示唆(しさ)しており、このままでは大気汚染のために競技日程や時間を改めるという、五輪史上前代未聞の事件に発展するかもしれないのだ。
こうしてニュースを並べてみると、日本がこれまでたどってきた道のりとも共通する部分が多く、ともに手を携えて解決の方法を考えることができるのではないだろうか。
(M)
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(編集部から)
大陸雄飛の小説に胸を躍らせて、はや数十年。
中国大陸は憧れの大地です。
いまだ当時英国領だった香港までしか、足を踏み入れたことがありませんが(涙)
(T)