気になるニュース401回「世界最強の糸」

【問】

これまで、天然素材の繊維で最強と言われていたのはクモの糸。
ところが、今回これを超える糸を、ある生き物から取り出すことに成功しました。
この生き物とは何ですか?

【答】

ミノムシ(ミノガの幼虫)

現在、山形県にあるスパイバーという会社が合成クモ糸繊維「QMONOS(クモノス)」を製品化しており、すでにこれを使った製品も世に出ています。
クモの糸は、鉄鋼より強くて耐熱性も高く、原料を石油に頼らない、環境負荷の極めて少ない次世代素材ということで、期待されている繊維の一つです。
この「QMONOS(クモノス)」は、クモからクモ糸を作るDNAを採取し、バクテリアに組み込み、バクテリアに生産させるという言わば「人工クモ糸」といったものです。

今回の「ミノムシの糸」は、バクテリアなどを使うのではなく、蚕のようにミノムシから取り出しています。ミノムシは共食いもなく、蚕のように大量に飼育することが可能だそうです。ではなぜこれまで使われてこなかったのでしょうか?
その最大の理由は、真っ直ぐな糸を取り出せないことでしたが、今回名古屋市の会社とつくば市にある研究所が開発した特殊な装置により、真っ直ぐな状態で取り出せるようになったそうです。

ミノムシの糸は、クモの糸の2倍ほどの丈夫さ、強さを持っており、340℃までの耐熱性があるということで、クモの糸と同様に今後が期待されています。
近頃、プラスチックゴミが問題となり、これまでのストローに代わる木から作り出したストローのニュースもありました。
天然素材から作られた、プラスチックに代わるものが数多く作られるようになると、石油に頼らなくてもよい時代にまた一歩近づけそうですね。

(西条教室N)