【問】
先月、海上自衛隊の護衛艦と韓国のコンテナ船とが、ある海峡で衝突する事故が起こりました。
この海峡は狭いうえに潮の流れが速いため、海の難所の一つであり、日本史上のある大きな戦いの舞台にもなったところです。
この海峡の名前を答えなさい。
【答】
関門海峡
山口県と福岡県の間にある関門海峡。
1185年、源氏と平氏が最後に雌雄を決した「壇ノ浦の戦い」の舞台でもあります。
海峡は狭く、潮の流れも速い上に複雑なうえ、潮の流れの向きも潮の干満にあわせて変わるため、海の難所の一つです。
瀬戸内海と韓国や中国を行き来する船舶はここを通過せざるをえませんから、通行量も非常に多い海峡です。
10月27日、この関門海峡で、海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国船籍のコンテナ貨物船による衝突事故が起こりました。
双方とも重傷者は出ませんでしたが、「くらま」は艦首部分がつぶれて炎上し、消火にあたっていた自衛官数名が軽傷を負いました。
衝突の原因は、コンテナ船が前方にいる船舶を追い越そうと左に進路を変えた(取り舵)ことのようですが、コンテナ船の船長は、「海上保安庁の海上交通センターの指示に従い、左から追い越そうとしたら護衛艦がいた」と発言したのに対し、関門地区の管制官は、「追い越すなら左だが、追い越すかどうかは最終的に船長に判断である」としています。
関門海峡では、無理な追い越しなどの危険な航行は禁じられているのですが、対向してくる船を避けられる状況であれば、安全を確認した上で、警笛を鳴らして周囲に知らせ、追い越すことは認められています。
このルールには少々疑問を感じます。
たとえば、道路ではセンターライン(道路の真ん中の線です)が黄色の場合は、「追い越し・追い抜き禁止」です。「安全が確認でき、クラクションを鳴らせば追い越してもいい」とはなりません。
今回は死者が出なくて幸いでしたが、関門海峡では、毎年何件もの船舶同士の事故が起こっています。
現在の追い越しの基準に問題はないのでしょうか?
また、確かに、船の上でのことは最終的には船長の責任です。しかし、韓国船側から見れば、「海上保安庁」は外国の公的な機関です。
ふつうは、他国の公的な機関からの指示には、なかなか逆らえないのではないでしょうか。
しっかりとした事故原因の究明がまたれるとともに、再び事故がおこらないように明確な基準をつくるといった対策が必要な気がします。
(皆実教室M)