【問】
宮崎駿監督が映画「崖の上のポニョ」の構想を練ったという、広島県福山市の港町はどこですか。
【答】
鞆の浦
鞆の浦は、福山市の沼隈(ぬまくま)半島の先端に位置する港町です。
正しくは「鞆町」です。
瀬戸内海の海流は、満潮時に豊後水道や紀伊水道から瀬戸内海に流れ込み、瀬戸内海のほぼ中央に位置する鞆の浦沖でぶつかります。
逆に干潮時には、鞆の浦沖を境にして東西に分かれて流れ出していきます。
つまり、鞆の浦を境にして潮の流れが逆転するのです。
「地乗り」と呼ばれる陸地を目印とした沿岸航海が主流の時代に、沼隈半島沖の瀬戸内海を横断するには、鞆の浦で潮流が変わるのを待たなければなりませんでした。
このようなことから鞆の浦は、大伴旅人などによる万葉集に詠(よ)まれるように、古代より「潮待ち(帆船が潮の流れが変わるのを待つ港)」の港と知られていました。
また、江戸時代には朝鮮通信使がたびたび寄港し、鞆の浦の景色を絶賛したという話も残っており、風光明媚(めいび)な町で、国立公園にも指定されています。
この町が、今ゆれています。
鞆町の道路は大部分が江戸時代から継承されたものです。
そのため、道路の幅が狭く、交通事情がよくありません。
緊急車両の出動にも影響があるそうです。
そこで、港の一部を埋め立て駐車場や公園を設置し、この埋立地と港の東側にコンクリート橋をかけるという計画が持ち上がりました。
この計画が実現すると歴史的景観が損なわれるとして反対する住民が訴訟を起こし、計画を進めようとする県や市と対立しているのです。
古い町並みがよく残り、江戸時代の港湾施設である「常夜燈」、「雁木」、「波止場」、「焚場」、「船番所」が全てそろって残っているのは全国でも鞆港のみです。
しかし、焚場の一部は道路整備により破壊される見込みになっています。
そこで、鞆の浦の歴史的景観の保全を求める人々などから反対の声が上がっており、景観は破壊されないとする市や県と対立しているのです。
この反対運動には尾道などを舞台とした映画で知られる大林宣彦監督や、アニメ監督宮崎駿氏などの参加もありまた、「美しい日本の歴史的風土100選」にも選ばれたことなどから、関心が高まっている状態です。
また、金子現国土交通省大臣は、「住民の合意ではなく、国民の合意をとりつける必要がある。その過程で見直しもあり得る」と、今の計画案見直しを示唆(しさ…それとなく示すこと)する発言をしています。
推進派、反対派それぞれの意見は、双方とももっともな部分がたくさんあります。
まずは住んでいる住民の生活が第一だという推進派の意見。
文化財保存、観光立地の観点からやめるべきだという反対派の意見。
善悪はっきりつけられるものではないでしょう。
難しい問題です。
北海道小樽の運河のように、賛否両論ある中で埋め立てが実施され、今や一大観光スポットとなった例もあります。
が、それとてそれが正しい結果かどうかはわかりません。
和歌山市の和歌浦のように、景勝地としての価値を損ね、観光客の減少を招く可能性もあるからです。
町並みやたたずまいなどは時代とともに変わっていくものなのでしょうが、よいものはなるべく残しておきたい…というのは部外者の感傷なのでしょうか。
一つのものを残していくというのはものすごくエネルギーの要ることなのですね。
広島にある文化財を改めて見直す気持ちになりました。
(五日市教室A)
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新年度説明会のご案内
アイルでは、新年度のご入会を検討している保護者の方を対象に、下記の通り、入会説明会を予定しております。
2月の予定は以下の通りです。
ご予約の必要なございませんので、お気軽に足を運んでいただければ幸いです。
また授業体験や見学などは随時承っております。
【第1回】
2月21日(土)
11:00~12:00
【第2回】
2月28日(土)
11:00~12:00
いずれも、横川駅前教室、五日市教室、皆実教室、己斐教室、西条教室の各会場での開催です。
教室長から、アイルの指導理念である「小さな成功体験の積み重ね」や、広島地区入試にターゲットを絞った指導方針、カリキュラムなどについてお話いたします。
またあわせて教材の展示なども行っておりますので、お気軽にお越しください。
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2009年度アイル合格実績について
2009年度入試のアイルの合格実績は、ホームページからご覧ください。
なお、アイルでは、受験の意思がない学校について受験をお願いすることはありません。
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