気になるニュース288回「行くべきか、退くべきか」

【問】

福井県敦賀市にある仏教に由来する名前のついた研究用の原子炉を何といいますか。

【答】

もんじゅ

「もんじゅ」は核燃料サイクル計画の中核を担う研究用の原子炉で、高速増殖炉という種類になります。
原子力発電では、核分裂をする際にエネルギーを放出するウランという物質を燃料に使うことはみなさんも知っていますね。
もっとも、現在の原子力発電で使われているのはウランの中でもたった0.7%を占めるに過ぎないウラン235という物質を利用しているだけです。
残りの99.3%は、通常中性子をぶつけても核分裂を起こさないウラン239という物質で、これは今の通常の原子力発電には利用できていません。

このウラン239に高速の中性子をぶつけることで核分裂反応へと導き、燃料を増殖させて、原子力発電に利用しましょうというのが高速増殖炉なんです。
わかりやすくいうと、普通の原発で使った後の核燃料もこの高速増殖炉なら燃料を再び使うことができる、そんな夢のような計画が1960年代から進められてきたのですね。
ただ、もんじゅも青森県六ヶ所村にある核燃料の再処理施設も失敗が続いていて、実用化のめどがたっていないのが現状です。

そんな中、日本政府がもんじゅの廃炉を検討しているというニュースが入ってきました。
廃炉にするのに三千億円かかるとの報道もありますが、再稼動させるのにも数千億円かかるそうです。
福島の原子力発電所の事故を見ても、いったん暴走したら人間の力では制御できない分野にあっては、まず本当に安全な技術の確立が望まれるような気がしますが、皆さんはどう思いますか?

(アイル代表)