気になるニュース249回「主食の未来」

【問】

TPP(環太平洋経済連携協定)で、アメリカとオーストラリアから、無関税で最大8万トンの輸入枠を設けることになった農産物は何ですか。

【答】

現在はアメリカやタイ、オーストラリアや中国から約77万トンの米を無関税で輸入しています。
(これは1993年の通商交渉で決まったことで、このコメをミニマム・アクセス米といいます)
しかしそのまま市場に流通させると米の値段が大きく下がってしまう危険性があるため、政府はODA(政府開発援助)で途上国に食糧として支援したり、家畜の飼料としたりと、他の方法で使っています。
今回の枠の拡大で、国内の稲作農家・産地は価格が下落するのではないかという不安が大きくなっています。

日本の農家は経営規模が約1haとアメリカの160分の1の小ささであるうえに、山がちな地形のため中山間地での栽培が多いという事情があります。
ここに高齢化が加わり、現在は日本の各地で耕作放棄地が増えているのが実情です。
今回の決定でそれに拍車がかかるのではないかというのです。
政府は2018年度に生産調整(減反政策)を廃止する方針です。

一方で、コシヒカリなどの伝統的な銘柄に対し、新たな品種が次々と登場しています。
農家の努力頼みではなく、若者たちが農業が魅力ある産業として選べるような施策を期待したいところです。

(五日市教室A)