国語特集・【読解問題線引き編②】
今回紹介するのは、登場人物の気持ちのとらえ方です。
そのポイントとなるのは、「気持ち」「言動」「できごと」「天気」の4つです。
「気持ち」については簡単です。
「うれしかった」「かなしい」など、心情表現に線を引く作業なので、最初からできる生徒が多いです。
もちろん、実際の入試問題では、それがそのまま正解になることはあまりありません。
ただし、物語の流れの中でどういう風に気持ちが変化していくのを追うのは大切なことなので、もちろん重要なポイントの1つです。
次の「言動」ですが、登場人物のセリフや動きから、その時の気持ちを考えることが大切です。
授業でよく例文で出すのが、「A君が駅前で泣いていた」「Bさんがスキップして帰っていた」「C先生が『ちくしょう!』とさけんでいた」などです。
こういった部分からは問題も多く出題されますし、中には慣用句を使った表現が用いられていることも多いので、線引きの中で意味の復習をすることにもつながります。
この時に難しいのは、いかに「自分だったらどうだろう」という思い込みを消せるかです。
ある程度、自分と重ね合わせて考えることは大切ですし、読書の仕方としては良いのですが、入試問題の国語を解く上では、あくまでも客観的に登場人物の気持ちを読み解かないといけません。
線引きを重ねる中で、「『一般的には』こういう言動をとる人の気持ちはこうではないかな」という常識的な感覚を養っていくことが大切です。
3つ目の「できごと」については、その場に対象の登場人物がいない時や、気持ちを表に表わしていない時に重要です。
たとえば、登場人物の身内が事故で怪我をすれば「悲しい」という気持ちが読み取れますし、逆に宝くじに当たったというできごとがわかっていれば、「うれしい」という気持ちがわかります。
物語の中で起こるできごとには、自分も経験したことがあるようなものから、ちょっと普通の小学生は経験しないものまで様々にあるので、それらに線引きをしつつ経験の蓄積をしていくことが重要です。
最後に「天気」ですが、物語文は極端に言えばフィクション(作り話)ですので、天気は登場人物の気持ちに合わせて作者が書くことができます。
たとえば、主人公が長年優勝を目指してきた大会で優勝した瞬間、その時の天気が晴れか大雨かと言えば、晴れではないでしょうか。
または、さっきまで雨模様だったのに、優勝が決まった瞬間に雨があがってもよいかもしれません。
反対に、ここまで努力してきたのにその大会の直前でけがをしてしまったら、その時には主人公のまわりでは雨が降っているのではないでしょうか。
ただ天気を書いているのか、気持ちを表す天気なのかはそれと意識して読むようにしないとなかなか見分けられません。
物語文のチェックポイントとしては最後に教えるポイントなので、少しハードルは高いですが、繰り返し練習することが大切です。
前回紹介した場面と合わせて線引きをすることで、物語の情景がより鮮明に浮かぶようになるのではないでしょうか。
さて、次回は苦手にする生徒がどちらかというと多めな、説明文の線引きについて紹介します。
(五日市教室T)