気になるニュース159回「1世紀にわたる苦しみ」

【問】

富山県神通川流域で発生した公害病について、初めて原因企業が被害者住民団体に謝罪し、補償をすすめることになりました。
これにより発生から100年、公害病と認定されてから50年近くたっての全面解決となりました。
この公害病の名前を答えなさい。

【答】

イタイイタイ病

イタイイタイ病は大正時代のはじめころから、富山県の神通川流域で発生しました。
大正時代のはじめといえば、今からおよそ100年前のことです。
体のあちこちが骨折し、患者が「痛い、痛い」と泣き叫んだことから、この病名がついたのですが、くしゃみをすると肋骨(ろっこつ)が折れ、お医者さんが脈をとろうと患者さんの手首を持ったら手首が折れる、というほどひどかったようです。

原因は神通川の上流にある神岡鉱山の排水に含まれていたカドミウムでした。
1968年に厚生省(現在の厚生労働省)が、国内ではじめて公害病として認定しましたが、このころの日本は高度経済成長の中で公害が激化している時期でした。
イタイイタイ病以外にも、水俣病・第2水俣病・四日市ぜんそくと、のちに四大公害病とよばれる、多数の死者をともなう重大な健康被害を出した公害病が、この時期に発生しています。

発生から100年、認定からおよそ50年たっての全面解決ですが、
イタイイタイ病と認定された患者196名のうち、現在生存されている方は3名です。
あまりにも長い年月であったことが重い事実として残ります。

(横川駅前教室T)