【問】
「和食、日本人の伝統的な食文化」が、国連のある専門機関が認定する「無形文化遺産」に登録される見通しとなり、12月に正式決定される見込みです。この国連の専門機関を何といいますか。
【答】
ユネスコ(国連教育科学文化機関、UNESCO)
「世界遺産条約」では、土地や建物、自然などいわゆる不動産が対象となっています。「無形文化遺産」は、これとは別の枠組みで、芸能、社会的慣習や工芸技術などを保護する制度です。日本からは、「能楽」、「人形浄瑠璃」、「歌舞伎」、「小千谷ちぢみ」など21件が登録されており、広島の「壬生(みぶ)の花田植」も2011年に登録されました。
食文化では、フランスの美食術、メキシコの伝統料理、地中海料理、トルコのケシケシに続く登録となります。
和食の特徴として農林水産省のHPでは、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」、「栄養バランスに優れた健康的な食生活」、「自然の美しさや季節の移ろいの表現」、「正月など年中行事との密接な関わり」の4つをあげています。
和食は日本の歴史や風土と密接に結びついている大事な文化なのです。
一方で現代では、毎日の食生活の中で「一汁三菜」の和食の基本が崩れ、家庭で作る料理も外国の料理や、食材も海外からのものが多くなっています。
また、私たちの食生活も伝統的な和食から離れつつもあります。
地理で「食の洋風化」と「食料自給率」については学習しましたね。
「食の洋風化」が原因のひとつとなって米の消費量が減少し、休耕や転作などの減反政策が行われたという話も授業で聞いたと思います。
世界がグローバル化した現在、海外からさまざまな魅力的なものがどんどん日本に輸入されています。
工業製品、生活用品、衣料品と同様に、食文化や食料品も時代とともに多様化していっているわけです。
文化というものは変わっていくものですが、一方で和食という世界で認められるすばらしい食文化を、後世に伝えていきたいですね。
今回のことが、もう一度「和食」というものを考える機会になってほしいと思います。
(西条教室F)