【問】
10月に熊本県熊本市で、国連環境計画(UNEP)の外交会議が開催され、水銀の使用や輸出入、排出などを包括的に規制する条約が採択されました。
この条約の名前にも使用されている、かつて熊本県で発生した水銀による公害病を何といいますか。
【答】
水俣病
「水俣病」は、熊本県水俣市にある化学工場の排液にふくまれていた水銀によって発生した公害病です。
5・6年生は「水俣病」について、四大公害病の一つとしてすでに学習しましたね。
日本では、新潟県の阿賀野川流域でも水銀による公害病が発生しており、こちらは「第二水俣病(新潟水俣病)」といわれています。
1956年に「水俣病」の発生が確認されてから57年目の今年、水銀の取り扱いを世界的に規制する「水銀に関する水俣条約」が日本で採択されました。
この条約の前文には、水俣病を重要な教訓とし、水銀による健康被害や深刻な環境汚染を防止することが明記されています。「水俣病」の悲劇を再び繰り返さないようにするため、日本政府の提案で「水俣条約」という名前がつきました。
「水俣病」は世界的にも有名で、「公害の原点」ともいわれているそうです。
会議には、約140か国・地域の代表者ら約1000人が参加しており、世界的にも環境を守るということに対しての関心の高さがうかがえます。
水銀は、蛍光灯や昔の乾電池、体温計など、日常生活のさまざまなところで利用されています。
これらを適切に処理、管理、保管することで、水銀が自然環境に流出することを防ぎ、人々の健康を守ろうということがこの条約の目的です。
各国は今後、署名、批准手続き(条約に参加すること)を進めるそうです。
国連環境計画では2016年の発効を目指していますが、この条約が発効されればすべてが解決するわけではありません。この条約をきっかけとして環境を守ろうという意識がさらに広がることが大切なのです。
地球の環境破壊を食い止め、世界の人々の健康が守られるように、一日も早い条約の発効を願います。
(皆実教室 M)