【問】
中東のある国で,大統領派と反政府組織との内戦が激化し,化学兵器も使われたという報道がなされました。
この国はどこですか。
【答】
シリア
地中海に面し,トルコやイラクにはさまれた国であるシリア。
この国で内戦が始まったのは2011年、「アラブの春」がきっかけでした。
チュニジアやエジプトで独裁政権が倒れたことを受け、シリアでも反体制デモが起こり、これを弾圧したアサド大統領率いる政府との間に内戦が始まりました。
それから2年が経った今年の8月、内戦で化学兵器である猛毒ガスのサリンが使われたという報道がありました。
8月末には、化学兵器が使用されたかどうかを調査するために、国際連合の調査団がシリアに入国し、調査を行っています。
ただ、まだその分析はすんでいません。
アメリカのオバマ大統領は、シリアへの限定的な軍事介入を検討している模様です。
もっとも、アメリカ議会の同意を得ることは難しそうです。
シリアと貿易面で関係が深いロシアは、アメリカの軍事介入を牽制(けんせい)しており、イギリスでも議会で派兵に反対する決議がなされました。
反対に、フランスは軍事介入に賛成の意を表しています。
今年の7月には、独裁政権を倒して民主化したはずのエジプトでも、軍が大統領を排除するというクーデターが起こり、夜間外出禁止令が出るなど政情は不安定です。
1973年、第四次中東戦争のあおりを受け、日本ではオイルショックがおき、石油製品の価格が高騰したということを学習しましたね。
現在の日本のガソリン価格も、こうした不安定な中東情勢を受けて上昇しています。
石油は火力発電でも使用しますので、今後、電気料金にも影響が出るかもしれません。
「遠い外国の話」では済まされないのです。
内戦が続けば、多くの人々が命を失い、国力も衰(おとろ)えていきます。
さらには、自国のみならず、世界の経済にも悪影響を与えます。
一日も早く平和が訪れてほしい、そう願うばかりです。
(皆実教室M)