今年は、近所の小川を舞う蛍の数が多かったように思います。
皆さんのお住まいのあたりはいかがだったでしょうか?
蛍はいっとき市内の川からすっかり姿を消していましたが、最近は放流などの試みもあるようで、年々復活してきたようです。
ただ、私が小学生の頃、岡山県のある村で見た蛍の乱舞と比べるとまだまだでしょうか。
竹箒でさーっと闇を掃けば、たくさんの小さな青い光の粒を集めることができたものでした。
宮本輝の『蛍川』のラストシーンに優るとも劣らない凄絶ともいえる光の渦が、頭のなかに焼きついて離れません。
足元にふたつ並んでいる蛍に絶対に手を出すな、という地元のおじさんの注意もいまだ耳に残っています。
足元に並んで光るそれは、マムシの双眸であることも少なくないのだとか。
広島県の山間部では、ネギのなかに蛍を詰め込んで懐中電灯がわりに山道を歩いた話を聞いたり、夜釣りの餌にしたという逸話を読んだりしたこともあります。
いずれにせよ、蛍を自宅から歩いて5分のところで見ることができるのは、ある意味ぜいたくなことだなあと、しみじみ感じたことでした。
(己斐教室S)