□読書への姿勢&本屋大賞③
先週の続きです。
先月の読書交歓会で、私は子どもたちのためにいわゆる児童向け文学を1冊用意していきました。
説明をしてみると、それなりに食いつきはよかったのですが、どこか反応が微妙でした。
そこで、時間が余ったので、字数も多く内容的には小学生には厳しいと思った本を紹介してみました。
この本は、子どもたちへの紹介にいいな、という本ではなく、純粋に書店で見つけて興味本位で買った本でした。
ところが紹介してみると、こちらの方が圧倒的に食いつきが良かったのです。
自分では同じように紹介したつもりでしたが、子どもたちはこちらの方が楽しそうだ、と言うのです。
やはり他人に薦めるうえで、自分が楽しいと思ったことがある本である、というのは大切な要素なのだと思います。
そこで1つお薦めできるのが、「本屋大賞」という文学賞です。
この賞は高尚な評論家ではなく、書店員がお客に対して薦めたい本の投票で決めるので、読みやすい作品が多いのです。
さらに、大賞作品だけでなく、ノミネートされた作品もドラマや映画、アニメなど他のメディアにも展開する作品が多く、内容にわかりやすいものが多いのです。
最近で言うと、『図書館戦争』や『舟を編む』、『ビブリア古書堂の事件手帳』、少し前ですと『博士の愛した数式』、『東京タワー ?オカンとボクと、時々、オトン?』『一瞬の風になれ』などが有名でしょうか。
これらの作品は起承転結がはっきりしていて、登場人物の立ち位置もわかりやすいので、知らない言葉や新しい知識を吸収しながらも、話の筋の理解がしやすくなっています。
読後感も爽やかなものが多いので、読書に対して疲れるという感覚を持ちにくいと思います。
さらに段階を下げるならば、漫画と同じような内容の小説でも良いと思います。
私の場合、中学受験をせず高校受験から広大附属へ進学しましたが、中学生の時にしていた読書を思い返してみると、推理小説か、SFやファンタジーのライトノベルくらいです。
ライトノベルについては、表紙の絵を見てコミックだと勘違いして読み始めたのがきっかけだったくらいです。
大切なのは、自分から楽しんで読めることと、活字という形式に慣れていただくことです。
特に物語文が苦手という子は、実感がもてないような難解なものよりも、等身大で登場人物の成長が感じられるものの方が、国語力をつけるためにも大切です。
長々と書いてきましたが、読書で大切なのは保護者の方もふくめて、楽しむことです。
受験勉強の一助になることも確かですが、ぜひそれとは切り離して楽しんでみてください。
読書に限らず、芽から突然花を咲かせるような成長はできません。
まずは自分に近いところ、興味を持てるところから枝葉を伸ばして、やがて大きな花を咲かせてもらえればと思います。
(五日市教室T)