【問】
先日、ユネスコの諮問(しもん)機関が「世界文化遺産登録がふさわしい」という勧告を出した、国内最高峰は何ですか。
【答】
富士山
標高3776mで日本の最高峰である富士山。
先日、ユネスコの諮問機関(しもんきかん・・・行政庁の求めに応じて、学識経験者などが調査や審議を行い、意見を述べる機関)である「イコモス」が、富士山の世界文化遺産への登録がふさわしいとする勧告をまとめました。
6月にカンボジアで行われるユネスコの会議において、正式に登録される見通しです。
富士山が登録されれば、国内では2011年度に登録された「平泉」や「小笠原諸島」についで17か所目の世界遺産になります。
一方、神奈川県の鎌倉については、ふさわしくないと勧告されため、登録は難しくなりました。
山梨県と静岡県が、富士山を「世界自然遺産」として登録を目指したのは平成4年のこと。
しかし、ゴミの不法投棄がひどいことや、すでに観光道路が造られ開発が進んでいること、そして、富士山でしか見られない希少な動植物がとぼしいことなどが理由となり、国内の選考で落選したのです。
その後両県は、古くから信仰や芸術の対象となった文化的な価値に注目し「世界文化遺産」としての登録を目指すことにしました。
そして、国の暫定(ざんてい)リストに選ばれ、昨年1月のユネスコへの推薦書提出を経て、今回の勧告へとつながったわけです。
「イコモス」も、富士山信仰という山岳に対する日本固有の文化的な伝統を表しているとして、世界遺産に登録することがふさわしいとする勧告をまとめ、登録名称も「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」になる予定です。
もっとも喜びだけでなく、しっかり考えなければならないこともあります。
それは富士山が、自然遺産登録をあきらめた「ごみの不法投棄」と「環境保護」の問題です。
世界遺産への登録によって、さらに大勢の観光客が押し寄せることが想像できます。
観光客目当ての開発も加速するかもしれません。
あの雄大で美しい富士山が、世界自然遺産として登録できなかったのはなぜなのか。
私たちは肝に銘じておかねばならないと思います。
富士山がいつまでも世界に誇れる山でいられるよう、私たち自身が心がけ、行動していかなければならないと感じます。
(皆実教室 M)