いきものばんざい(91)

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スズメ【身近な野鳥 ~スズメ~】スズメ目スズメ科
 人間の集落ができると現れ、人間がいなくなると姿を消すといわれています。人間に対する警戒心が強いわりに、人間のそばで暮らすという、考えてみれば面白い性質をもっています。人間のそばにいれば天敵にもおそわれにくいということなのでしょう。人間や人工物を利用して共生する野生動物を「シナントロープ」といいます。ツバメが人家に営巣するのもそうですし、かつてはコウモリも人家に共生していました。最近は家屋に隙間が少なくなったためか、あまり見かけなくなっていますね。以前、方言の調査で山口県の山間部のお宅を訪問したとき、上を見上げると、大きな梁のところにアオダイショウがいらっしゃったのを思い出します。

いきものばんざい(90)

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バナナ【松尾芭蕉は松尾ばなな ~バナナ~】ショウガ目バショウ科
 もともと熱帯原産の植物で,日本では沖縄や鹿児島,小笠原諸島など限られたところで作られていましたが,最近は品種改良で他の地域でも生産が可能になりました。とはいえ,今でも輸入が多くをしめています。多くはフィリピンから。熱帯地方では主食のように食べられていますが,南米や東南アジアなどで菌によるバナナの病気が広まりつつあり,バナナがなくなるかもしれないとも言われています。新型コロナウイルスとの戦いも目に見えない戦いですが,生物どうしの生存競争はほかにもたくさんあるのです。松尾芭蕉といえば有名な俳人ですが,今風に言えば松尾ばなな。庭にバショウの木があったからだといいますが,彼はバナナを食べたんですかね。

いきものばんざい(89)

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キビシロタンポポ【タンポポは白? 黄色?】キク目キク科
 タンポポは身近な植物で、理科の学習でもよく登場します。綿毛をふうっと飛ばした経験のある人も多いでしょう。タンポポは黄色いイメージがある人が多いのではないかと思いますが、岡山から広島にかけての瀬戸内沿岸部ではカンサイタンポポという在来種の黄色いタンポポが多いからです。それ以外の地域では白いタンポポ(シロバナタンポポなど)が普通に見られており、外来種のセイヨウタンポポが入ってくるまではタンポポといえば白、と思っている地域も多かったのです。白いタンポポにはキビシロタンポポもあり、これは中国地方に多いタンポポです。

いきものばんざい(88)

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オオホシカメムシ【人の顔に見えるのは… ~オオホシカメムシ~】カメムシ目オオホシカメムシ科
 人面何々、と呼ばれる生きものたちがいます。模様が人の顔に見える、という理由からですが、そもそも人間の脳は、3つの点があると(∵)、人の顔だと判断してしまうというはたらきがあります(シミュラクラ現象)。ヒライソガニの模様などはほぼハッピースマイルの笑顔です。チブサトゲグモは沖縄のシーサーの顔。私にはパンジーの花もヒゲをはやしたおじさんにしか見えません。パンジーがたくさん寄せ植えになっていると、おじさんの群れに見えてしかたがない(笑)。第33話で紹介したラミーカミキリはタキシードを着たガチャピンです。インターネットでいろいろ画像を探して楽しんでください。画像はオオホシカメムシ。

いきものばんざい(87)

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シュレーゲルアオガエル【歴史とつながる? ~シュレーゲルアオガエル~】無尾目アオガエル科
日本固有種です。少し山に入れば、わりと声をききます。コロロロ…というかわいい声です。一見アマガエルに似ていますが、目の横に線が入りません。シュレーゲルはドイツの動物学者。江戸時代に日本から追放され、ナガサキアゲハの発見者としても知られるシーボルトとも知り合いでした。このころ、マムシやアオダイショウ、ヤマカガシなど、日本人には有名な両生類や爬虫類が新種としてヨーロッパに紹介されています。シーボルトミミズというミミズもどこかで見たことがある人が多いんじゃないでしょうか。身近な生き物がどこかで歴史の一部とつながっていることがあります。

いきものばんざい(86)

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ウミウ【鵜飼、うのみ、うのまねをするからす ~ウ~】カツオドリ目ウ科
 岩国の錦川で鵜飼が行われているのをごぞんじですか。三次の江の川水系でも行われていますね。アユなどをウに飲みこませてとらえ、それをはき出させて魚をとる漁法です。日本で最も古い書物である『古事記』や『日本書紀』にすでに記述があるくらい、古い漁のやり方です。とすると、一応家畜ということになるんですね。日本ではウミウを使っているそうです。最近このあたりでもウをよく見かけるようになってきました。飛んでいる姿が独特で、色も黒いのでウだとわかるのですが、遠目だとウミウだかカワウだか区別がつきません。う~。(画像はウミウです)
ウミウ②

いきものばんざい(85)

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キチョウ【越冬するチョウ ~キチョウ~】チョウ目シロチョウ科
 シロチョウの仲間としてはめずらしく越冬するチョウです。モンシロチョウやアゲハチョウの仲間はさなぎで越冬します。モンキチョウ(黄色い羽に黒い●の紋があります)は幼虫で越冬するので、冬の暖かい日に見かける黄色いチョウはキチョウだと思ってよいでしょう。(よく見ないと区別がつかないかもしれませんが)変温動物の昆虫にとって、成虫のまま寒い冬を越すのはリスクが高いと思うのですが…越冬のリスクのない暖かい南の方から分布域を広げてきたのでしょうか? 同じチョウなのに、なぜ越冬のしかたがさまざまなのか? さなぎがある程度の低温を体験しないと羽化しないのはなぜなのか? 興味はつきません。

いきものばんざい(84)

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イラガの繭【固い繭 ~イラガ~】チョウ目イラガ科
 小さいうずらの卵のような模様のまゆを見たことがあると思います。たいていは穴が開いていますが、これはすでに成虫が出たあとです。冬に散歩していると、まだ穴の開いていないまゆを見つけられますが、このまゆはイラガの仲間のものです。おそらく昆虫のまゆの中でいちばん固いといわれています。幼虫は、庭木の手入れをしていて刺された経験のある人がいると思いますが、あの緑色のウミウシのようなやつです。刺されると痛いので「電気虫」とか「オコゼ」などとも呼ばれています。確かにあれは痛い(経験談)。まゆの模様は美しいんですけどねえ。

いきものばんざい(83)

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ヤママユのまゆ【美しい繭 ~ヤママユ~】チョウ目ヤママユガ科
 夏に野山を歩いていると、美しい明るい緑色のまゆを見つけることがあります。これはヤママユやウスタビガのまゆです。昔の人もそりゃ目をとめただろうな、と思うぐらいの鮮やかさです。いわゆるカイコの糸(生糸)よりも強い糸がとれるんだそうですが、イタリアの衣服メーカーにも「ヤママユ」が語源のブランドがあるそうですよ。一つのまゆから600m以上の糸が取れるんだそうです。いつか糸を紡いでみたいと思ってまゆを見つけたときには集めてますが、成虫が抜けて穴は開いているし、糸は細いし、数は少ないし、まだまだだな…

いきものばんざい(82)

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アフリカオオコノハズク【顔が集音器 ~フクロウ~】フクロウ目フクロウ科
 大きな目をした鳥類です。鳥の中では顔が平面をしているめずらしい種類で、これは顔をパラボラアンテナのように集音器として使っていると考えられています。さらに左右の耳が上下にずれてついている仲間が多く、音の場所を正確にとらえられるといわれています。目も正面についているため、獲物までの距離が測りやすい(肉食獣と同じですね)。フクロウの仲間のうち、羽角(飾り羽根の一種)のあるものをミミズクと呼びます。夜行性ゆえなかなか目にすることは少ないのですが、このあたりだと夏になるとアオバズクの声をきくことがあります。松江フォーゲルパークでフクロウが飛ぶ様子を見たことがありますが、全く無音でした。生きものはそれぞれ高性能です。