いきものばんざい(101)

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アナグマ【わたしクマじゃありません ~アナグマ~】食肉目イタチ科
 クマと名前についていますが、イタチの仲間です。前足が太くて爪もするどく、穴掘りの名人です。見た目も食性もタヌキに似ているため「むじな」と呼ばれて同一視されている地方もあります(タヌキはイヌ科です)。「同じ穴のむじな」という言葉にもあるように、タヌキがアナグマの掘った穴に同居していることもあるようです。また、かちかち山のタヌキはアナグマだという説もあるそうです。
数は回復傾向にあるともいわれていますが、自治体によっては絶滅危惧種扱いしているところもあります。先日ドライブの最中、山中でアナグマの子どもに会いました。かわいかったですねえ。

いきものばんざい(100)

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クリ【昔の人も拾うの楽しかったのかな ~クリ~】ブナ目ブナ科
日本や朝鮮半島南部の原産で、農耕開始前から重要な食料だったと考えられています。有名なのは、三内丸山遺跡から大量のクリが出土したことですね。それらのクリと自然のクリのDNAを検査して多様性を比較したところ、おそらく栽培されていたクリではないかという説が提出されています。遺跡の大型建物の柱もクリの巨木だったことから、大きくクローズアップされました。昭和20年代には中国から持ち込まれたクリタマバチによって多くのクリの品種が消滅し、大被害が出ましたが、現在は抵抗性品種が栽培されています。一つの種にもドラマチックな側面、知られざる側面があって面白いですね。

いきものばんざい(99)

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ニイニイゼミ【泥をかぶった抜け殻を見かけた? ~ニイニイゼミ~】半翅目セミ科
セミの抜け殻が泥だらけで、しかも木の比較的低いところにあったら、それはおそらくニイニイゼミの抜け殻です。とはいうものの、見かけるのはクマゼミやアブラゼミの抜け殻ばかり。ニイニイゼミは姿も鳴き声も少なくなりました。他のセミに比べ、湿り気のある土を好むため、土の乾燥した公園の多い都市部では減少が報告されています。抜け殻が泥だらけなのも、乾燥を防ぐためかもしれませんね。(地域によっては最近増加傾向にもあるという報告もあります)近所で見かける抜け殻はクマゼミの割合がかなり高いです。ちなみに抜け殻で布を染めてみましたが、ほとんど色がつきませんでした。残念。

いきものばんざい(98)

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トビ【ねらわれるおにぎりや唐揚げ ~トビ~】タカ目タカ科
ピーヒョロロロ~という独特な鳴き声、羽ばたかずに上空を旋回する姿、カラスとけんかする様子など、数を減らしている猛禽類の中で、私たちの暮らしに最も身近な種といえます。「とびに油あげをさらわれる」という言葉にもあるように、急降下して人間の食べているサンドイッチやハンバーガーなどをかっさらっていくこともあります。有名な観光地では、トビに食べ物をうばわれないようにするための心がけを公開しているところも。が、これは人間に餌づけされた経験を持つ個体が始めたことで、野外では普通人間には近づきません。餌が減っているのか、繁殖期で餌がたくさんほしいのか、他にも理由はあるでしょうけれど、餌をやったりしないでね。

いきものばんざい(97)

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コガネムシ【メタリックで金持ち? ~コガネムシ~】甲虫目コガネムシ科
 カナブンやコガネムシの外羽はメタリックで美しい。別に黄金虫は金持ちだ~♪からメタリックなのではなく、生物的な意味があるはずです。緑や黒っぽい色は自然の中にとけこみやすいからでしょうが、なぜぴかぴか光を反射することを選んだのか? タマムシやクジャクの羽、CDの裏面などに見られる、非常に細かい構造によって光が分かれる現象を「構造色」といいます。アワビの貝殻の内側もそうですね。昆虫の中にはこの構造色を身にまとっているものがけっこういます。奄美大島や沖縄島北部の森林などが世界遺産に登録されましたが、この地域では2020年にメタリックな体色を持つ新種のゴキブリが発見されています。

いきものばんざい(96)

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アメンボ【水上にうかぶ技  ~アメンボ~】カメムシ目アメンボ科

1円玉を水面に静かにおくと、水の上に浮かんだままで沈みません。水の表面はうすい膜がはったようになっており、物を支える働きがあります。これを表面張力といいます。アメンボは体重が約40㎎と非常に軽く、また足の先には細かい毛が生えており、おまけに足先から油を分泌しているため、水をはじいてぬれないようになっています。軽くて水をはじく。それでアメンボは沈まないのです。アメンボが浮いている水に洗剤をたらすと、沈んでしまうそうです。油がとけてしまうからですね。ちなみにアメンボは「飴棒」から。飴のようなにおいがし、細長い体を持っているため、この名を持っています。

いきものばんざい(95)

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シオカラトンボ【フラッター防止器官 ~シオカラトンボ~】トンボ目トンボ科
メジャーなトンボで、よく見かけます。オスは成熟すると青みがかった灰白色の粉におおわれるため、この名があります。シオカラトンボというよりシオトンボですね。メスはオスと色が違って黄色に近いのでムギワラトンボとよばれることもあります。さてトンボの中には羽の先に色がついているものがいますね。これを「縁紋」といいます。単なる模様ではなく、飛行中に生じる有害な不規則振動(フラッターといいます。航空機にも起きる現象です。)を消す働きがあります。フラッターは高速になればなるほど起こるものなので、トンボの高速飛行を支えている一つがこの小さな器官。ああ神は細部に宿りたもう。

いきものばんざい(94)

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アマガエル【雨蛙 ~アマガエル~】無尾目アマガエル科
 普通のカエルは繁殖期の夜になると、メスを呼ぶために鳴きますが、アマガエルは名前の通り、雨がふりそうになると繁殖期でなくても昼でも鳴き始めます。カエルの仲間では比較的乾燥に強いのですが、やっぱり雨はうれしいんでしょう。カエルは進化の中で、初めて声帯を使って鳴いた生物と考えられています。世界にあふれる数々の歌も、彼らの進化の末にあると思うと、面白いですね。田んぼなどにいて、平面的な生活をしているトノサマガエルなどに比べ、樹上などで垂直的な暮らしをしているため、指先に吸盤があるのもキュートなところでしょうか。

いきものばんざい(93)

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アオサギ【はっきりしないサギ? ~アオサギ~】ペリカン目サギ科
日本で広く見かける鳥です。青というより、青みがかった灰色ですが、昔の日本語でははっきりしない薄い色を「青」といっていました。明るい色は「赤」、暗い色は「黒」、はっきりした色は「白」(はっきりとわかるようにしたマークを「しるし」ともいいますね)と呼び、古くはこの4色しか色の名前がなかったのではないかとも考えられています。このはっきりしない色のサギさんは本州では留鳥として年中河川や河口などで見かけます。つばさを広げると1.7mほど。そういえば昨年コウノトリが東広島で目撃されていましたね。こちらのほうがやや大きいです。神戸から放鳥されたものだったみたいですが、繁殖してほしいな。

いきものばんざい(92)

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スッポン【カメらしくないカメ ~スッポン~】カメ目スッポン科
 見た目は明らかにカメですが、スッポンの甲羅は他のカメとちがってやわらかいのが特徴です。(いわゆるコラーゲンを多くふくんでいます。)普通のカメは硬くて頑丈な甲羅を持つことによって防御力を高めました。そのかわり運動性は犠牲にされ、「ウサギとカメ」に歌われるように動きも遅くなってしまっています。スッポンの甲羅は重量も軽く、足も動かしやすいので、早いスピードで移動できます。防御力より逃げ足の早さを優先させた進化をしています。やわらかい甲羅や手足。ウロコもない。カエルとカメの中間的な存在にも思えます。恐竜の化石で有名な福井県からは、世界最古のスッポンの化石が見つかっています。