いきものばんざい(111)

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コツメカワウソ②【まだいる? ~ニホンカワウソ~】食肉目イタチ科
 カワウソの仲間は泳ぎが得意で、水中の生活に適応しています。ニホンカワウソは、かつて日本にも広く生息し、水辺で普通に見られました。カッパのモデルになったという説もあります。環境の変化や乱獲などで、明治ごろから姿を消し始め、1979年に高知県の新荘川での目撃例が最後とされ、環境省は2012年に絶滅指定しています。しかし、絶滅したと言われながら、再発見された例も多いのです。かつてアホウドリもそうでしたし、最近では1940年に田沢湖で絶滅したとされたクニマスが、2010年に西湖で発見されました。高知県の仁淀川や長崎県の対馬でもニホンカワウソではないかという目撃情報があります。生き残っていてほしいですね。※画像はコツメカワウソ

いきものばんざい(110)

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アメフラシ【海兎 ~アメフラシ~】軟体動物門腹足綱
優雅な名前ですが、海中でまるで雨雲がたちこめるかのように広がる紫色の液を出すことからの命名だという説があります。ウミウシに近い仲間で、見た目も割と似ています。夏に潮だまりで産卵しますが、その卵の名は「海そうめん」。岩かげに黄色い焼きそばっぽい感じのものがついていれば多分それです。どちらも多少グロテスクといえばグロテスクなのに本体も卵も何と抒情的な名前で呼ばれているのでしょう(笑)。アメフラシの頭部には二本の突起があるため、海兎という名もあります。ウミウサギという純白の貝もありますが、これとは別。これまた風雅な名ですね。

いきものばんざい(109)

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ウミネコ【~ウミネコ~】チドリ目カモメ科
カモメの仲間ですが、ウミネコの方がよく見られるのではないかと思います。鳴き声もカモメに比べてネコっぽい。本来は河口や干潟に生息しますが、最近はビルの屋上や水田の多い内陸部でも繁殖が確認されているようです。雑食なので食べるものに事欠かなければ大丈夫なのでしょう。廿日市大橋に並んでいる街路灯の上で休んでいる鳥を見かけますが、ウミネコが一番多いですね。一灯につき一羽、行儀よくとまっています。このあたりにはトビやミサゴもとまっているので、魚をねらうポイントとして穴場なのかもしれません。彼らに聞いてみないとわかりませんが。

いきものばんざい(108)

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ライチョウ【孤島に取り残されて ~ライチョウ~】キジ目キジ科
 2万年前の氷期に日本に渡ってきたと考えられています。その後温かい気候になったのちも、一部が高山に残りました。現在は北アルプスや南アルプスにかけての山の標高の高いところに隔離分布しています。つまり島状に取り残されていることになるわけです。温暖化が進んでいるため、より標高の高いところしか住めなくなるので、山を越えてつがいになることはますます難しい状況です。また、最近の登山ブームで登山客が増加し、ハイマツをふみあらすなどして生息場所が減っているという状況もあります。常に自分の行動がどんなことにつながっていくのか考える習慣を持ちたいですね。画像は7年前に立山で撮影したものです。

いきものばんざい(107)

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イシガケチョウ【温暖化により北上中 ~イシガケチョウ~】鱗翅目タテハチョウ科
 温暖化の話題がとぎれることのない現在、気温の上昇はさまざまな影響をうんでいます。稲作では米が白くにごり品質が低下している地域がありますし、豪雨や高温によって野菜が被害を受けたというニュースも毎年のように聞きます。身近なところでは見かける昆虫の変化です。南方系のクマゼミの数が増えたことは以前も書きましたが、ツマグロヒョウモンやナガサキアゲハの北上も各地から報告があがっています。秋には、近所でイシガケチョウを見かけましたが、これもかつては珍しいチョウといわれていましたが、今は四国・中国地方、近畿地方にも分布を広げています。すぐ何かが起こる、というわけではない変化ですが、どきどきすることが増えています。

いきものばんざい(106)

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トノサマガエル【関東には殿様はいない ~トノサマガエル~】カエル目アカガエル科
 私が子どものころにカエルといえば、トノサマガエルを筆頭に、アマガエル、そしてイボガエル(ツチガエル)でした。まだ小川とか水田があちこちにありましたので、すぐそばに住んでいる、という感覚の生きものでした。最近は生息地が減ってしまって、あまり見かけなくなってしまいました。殿様のように背を伸ばして座っている堂々とした姿から名づけられたという説があります。ところで、関東地方でトノサマガエルとよばれているのは、ダルマガエルというカエルです。トノサマガエルは関東地方には生息していません。

いきものばんざい(105)

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スミレ【念には念を ~スミレ~】キントラノオ目スミレ科
 スミレは虫に花粉を運んでもらう虫媒花です。春に開花しますが、花びらの内側が目立つ模様になっているのも虫を呼ぶため。花びらを細長く筒状にして、特定の虫だけが蜜をもらえるしくみになっています。さらに夏には開花をやめ、閉鎖花というつぼみの状態で自家受粉します。虫に花粉を運ばせる方法と、自分自身で受粉する方法の二段構えです。さらに種子を遠くまで発射できるうえに、種を運んでもらうためにエライオソームというアリが好む物質を種子につけています。一体何段構えの戦略なんだ…と思いますが、これが地面の上20cmで繰り広げられている生存競争の一つです。

いきものばんざい(104)

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オナモミ【ひっつきもっつき ~オナモミ~】キク目キク科
 画像の左上が雄花で、カギ状のとげとげがあるのが雌花です。このとげは動物に付着して遠くまで運んでもらうためのものですが、広島では「ひっつきもっつき」と呼ぶ人が多いんじゃないですかねえ。広い地域で「ひっつきむし」「くっつきむし」「ばか」「どろぼう」などと呼ばれ、昔から人々に親しまれてきた植物であることがわかります。同じように細かいカギでくっつくものにはヌスビトハギ、粘液でくっつくものにはメナモミがあります。さまざまな方法を編み出したもんですね。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       ちなみにオナモミは開花のための生物時計が正確で、暗い時間が8時間30分あるとつぼみをつけますが、8時間15分ではつぼみをつけないことがわかっています。

いきものばんざい(103)

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オシドリ【夫婦仲がいい? ~オシドリ~】カモ目カモ科
 オスの羽の美しい鳥です。このあたりでは、冬に北海道や本州中部以北から移動してくることが多い漂鳥です。仲のよい夫婦をおしどり夫婦といいますが、夫婦でいるのは繁殖のときだけ。オスは子育てを手伝わず、次の繁殖期には別のメスとペアになります。オシドリのようにオスの方が美しい鳥は、大体一夫多妻制です。美しいオスがもてます。美しいオスとペアになることで、メスは自分の子孫を残そうとしているわけですね。また、カモの仲間なのに、敵におそわれない高い木のほらに巣を作ります。じゃあヒナがどうやって降りるのか……飛び降りるみたいです(驚)。

いきものばんざい(102)

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ホトトギス【わたし鳥じゃありません ~ホトトギス~】ユリ目ユリ科
 鳥の方が有名なホトトギス。他の鳥に托卵することで知られ、夏の夜に「東京特許許可局」とか「包丁コかけた」などと聞きなしされるカッコウの仲間です。同じ名前でホトトギスという植物があり、水玉模様の花を咲かせるかわいいユリの仲間です。異なる生物で同じ名前を持っているものがけっこうあります。ヤマトシジミは昆虫と貝。ヒイラギやスギは魚と植物。混乱しそうなもんですが、動物と植物、あるいは、同じ動物でも住んでいる世界がまったく違うからかんちがいしにくいということなのでしょうかね。