いきものばんざい(121)

カテゴリー: ■いきものばんざい

ミヤジマトンボ【神の島 ~ミヤジマトンボ② ~】トンボ目トンボ科
 日本のトンボ類の中では最も絶滅が心配されている種です。生息は日本では宮島の限られた地域のみ。海辺の湿地に住むというやや特殊な性質を持つため、開発が進んだ他の瀬戸内海の島々には生息が認められていません。宮島は古くから神の島としてあがめられてきたため、開発が禁じられていた結果、ミヤジマトンボが生息できる環境が残ったと考えられます。シオカラトンボに似ていますがやや小柄。なぜか宮島と、中国の香港にしか生息が認められていません。宮島はそんな貴重な生物が住んでいる島でもあるのです。

いきものばんざい(120)

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サカサクラゲ【天地を逆に生きている ~サカサクラゲ~】刺胞動物門 鉢虫綱
クラゲはふつう、カサを上に向けてぷかぷか浮かんでいますが、サカサクラゲはカサを下に向け触手を上にして生活しています。天地さかさま。クラゲは刺胞動物という仲間で、触手に「刺胞」という毒を注入する針を持っているグループです。イソギンチャクとクラゲは天地を逆にして生活していることになるわけで、サカサクラゲはイソギンチャク寄りの生活をしているということになります。サカサクラゲは、体に褐虫藻という植物プランクトンを持ち、光合成によってエネルギーを得ていることもわかっています。

いきものばんざい(119)

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【闘う魚 ~ベタ~】スズキ目オスフロネムス科
 東南アジア原産の熱帯魚です。色の鮮やかさも目をひきますが、強いなわばり意識を持ち、「闘魚」という別名のとおり、他の個体が近づくと激しく威嚇・攻撃する性質を持ちます。背びれや尾びれ、エラまでを最大限に広げ、ふるわせて威嚇します。1匹で飼っている場合は、鏡を使うとこのフレアリングが観察できます。また、ベタはラビリンス器官という空気呼吸が可能なしくみを持っており、水中の酸素が少ない状態でも生きていけます。熱帯の川は流れもおそく、水温も高いため、酸素が水にとけにくい状態です。これに適応したものと考えられています。日本人が海藻を消化できるように環境に合わせて適応したのと同じですね。

生き物ばんざい(118)

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シマヘビ【毒はありません ~シマヘビ~】有鱗目ナミヘビ科
 道路で車にひかれてぺっちゃんこになっているのがよく見かけられた一般的なヘビで、カエルをねらって水田や水路によくいたものです。ぬけがらもよく見かけました。今はずいぶん見られなくなってしまっていますが、先日、川の堤防の上の散歩道で見かけました。日本にいるヘビは30種をこえますが、本土に生息するのは8種(ツチノコはふくみません)。そのうちの1つです。ヘビは手足がなく細長い体が特徴的ですが、口を大きくあけることができる骨の構造や、赤外線を感じる器官をもつなど、結構変わり種の種ではあります。

いきものばんざい(117)

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アシナガバチ【なぜ六角形の巣をつくる? ~ハチ~】ハチ目
ハチの巣に見られるような六角形の立体構造は、「ハニカム構造」と呼ばれています。(「ハニカム」は「ミツバチの巣」といったような意味です)このしくみの最大の特徴は、少ない材料で最大の広さがある部屋をつくれることです。丸い形をしきつめていくと、確かに間にすきまができてしまいますね。昆虫の複眼やカメの甲羅などもハニカム構造になっています。工業製品にもこれを応用した部品が多く使われています。しかし、ハチはどのようにしてこれを学んだのか? などと考え始めると、やはり神様がいるのではないかという思いに行きつくことがあります。

いきものばんざい(116)

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サネカズラ【万葉の頃から ~サネカズラ~】アウストラバイレヤ目マツブサ科
舌をかみそうな目に分類されていますが、日本では数が少ない仲間です。実は一度見たら忘れられない形をしています。奈良時代にはこの実からとれる液を整髪料に使っていたと考えられており、昔の日本人にはなじみの深い植物だったようです。
百人一首にも歌われていますね。
名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな  三条右大臣
だれにも知られないように、恋しい人と連絡を取る方法がほしい、というスマホなどのない時代の心情が感じられる和歌です。

いきものばんざい(115)

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ミズカマキリ【水遁の術 ~ミズカマキリ~】カメムシ目タイコウチ科
 忍者が口に竹筒をくわえて水に潜って逃げる「水遁の術」。お尻から長い呼吸管を伸ばして水に潜って獲物を待つ姿が似ているなあ、と子どものころ感じていました。タガメやタイコウチなど、こういった水生昆虫は田んぼが減るとともに見られなくなっています。ミズカマキリは飛ぶ能力が高いので、夏が終わったプールなどにもやってくることがあると思いますが、それでも数は減っています。餌になるメダカやオタマジャクシ自体も減っているからです。身の回りで食物連鎖を目にする機会が減っているわけで、生物に関する知識がうすいのも、このあたりが原因の一つでしょうか。

いきものばんざい(114)

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コーヒー【植物は薬剤の宝庫 ~コーヒーノキ~】リンドウ目アカネ科
 コーヒーノキの実をひいて粉をつくり、それをお湯で濾した飲料がコーヒーです。日本では沖縄や小笠原諸島などでわずかに生産されています。コーヒーの成分、カフェインは眠気ざましの効果で知られていますが、昔から人々は経験から学び、薬として植物を用いてきました。のど飴に入っているショウガやカリンもその例のひとつです。菌類ではありますが、抗生物質のペニシリンがアオカビから見つかったことはよく知られているとおりです。今はトウモロコシやジャガイモなどを使って植物に薬を生産させる方法の研究も行われているんですよ。植物が果たしている役割はとても大きいのです。

いきものばんざい(113)

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ミツバチ【小さな働き者 ~ミツバチ~】ハチ目ミツバチ科
 はちみつは集めてきた花によって味が違うといいますね。ふ化した直後から花の蜜を集めて回りますが、一匹が一生のうちに集める蜜の量はスプーン一杯程度、といわれています。値段が高いのもうなずけます。保存用や子どもの食料としてがんばって集めているわけなので、くまのプーさんは集めた富を奪う黄色い略奪者、ということになります。ミツバチは植物の受粉にも大きく関わっているため、ミツバチがいなくなると野菜や果物の生産に大きな影響があると考えられています。その意味では、私たち人間の小さな、でも偉大なパートナーということになります。

いきものばんざい(112)

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ツクシ【春先の筆 ~スギナ~】シダ植物門トクサ綱トクサ科
 スギナはシダ植物に属しますので、種子ではなく胞子で増えます。この胞子を出すための器官をツクシといっています。筆のようなかたちをしているので「土筆」と書きますね。スギナはツクシとは全く異なる外見をしているので、別の植物だと思っている人もいるかもしれません。ツクシの胞子は以前教室の顕微鏡で見た人もいるでしょう。丸い胞子から細長いひものようなものが出ており、湿気を帯びると縮み、乾燥すると伸びます。吹き飛ばさないように気を付けて息をふきかけると、うでを伸び縮みさせる様子が楽しめます。