いきものばんざい(131)

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ナミテントウ【紋の数はいろいろです ~ナミテントウ~】コウチュウ目テントウムシ科
 太陽(お天道様)に向かって飛ぶのでテントウムシ。ナナホシテントウ同様、アブラムシを食べる虫として有名です。人家の庭にいるのはたいていこっち。昆虫は同じ種であれば同じ模様をしていることがほとんどなのですが、このナミテントウは同じ種なのに、さまざまな斑紋を持つ虫としても知られています。このあたりでは黒地に赤かオレンジ色の紋を2~4つ持つものが多いのではないかと思いますが、東日本ではオレンジに黒の19紋型が多いと報告されています。気温の違いによる地域差がはっきりしている例ですね。身の回りでもさがしてみてください。

いきものばんざい(130)

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ヒレンジャク【さがしてみて ~ヒレンジャク~】スズメ目レンジャク科
 見つけたらすぐにわかる特徴満載の冬鳥です。顔にくまどり、頭に鋭い冠羽、尾羽の先が鮮やかな赤。ヒレンジャクのヒは赤を表す「緋」、レンジャクは「連雀」。赤い、群れをつくる雀という意味で、実は平安時代から親しまれてきた鳥。ヤドリギの種子散布に関わっていることでも知られます。ヤドリギは種子のまわりにねばねばした液を持つので、フンといっしょに排出された際に樹皮にくっつくことで、そこから根を宿主の木に伸ばして寄生します。日本に飛来する数が年によって大きく異なるので、見つけられたらけっこうレアですねー。キレンジャクっていう仲間もいます。

いきものばんざい(129)

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ウサギ【今年はウサギ年 ~ウサギ~】ウサギ目ウサギ科
 ウサギ年ですので、再びウサギの登場です。2回めなので、今回は動物としてのウサギではなく、干支のウサギ、つまり卯について。昔は方角や時刻も干支で表していました。干支を右回りにぐるっと1周するかたちで書いてみてください。午前0時が子の刻。午前2時あたりが丑の刻。夏の怪談の常套句(今は言いませんかね)、「草木も眠る丑三つ時…」の丑。半周した午がお昼。これが午前、午後の語源となっています。方角にあてはめると北が子、南が午になります。で、南北の線(経線)を「子午線」というわけです。ウサギが出てきませんねえ。東が卯、西が酉なので、緯線を実は卯酉(ぼうゆう)線といいます。

いきものばんざい(128)

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センチコガネ【日本のスカラベ ~センチコガネ~】甲虫目センチコガネ科
 ファーブル昆虫記で有名なスカラベ(ふんころがし)。太陽神信仰のさかんだった古代エジプトでは、大きな球体をつくるスカラベを聖なる虫として崇拝していました。ただの糞を丸めたものなのですが。人間の想像力は面白い。日本にいるセンチコガネも同じ性質を持っており、糞を丸めて産卵します。美しい金属光沢から昆虫愛好家の採集の対象ともなっている虫です。紫、青、金色などさまざまな色をしたものがいます。森を歩いていて見つけたものですが、今はじっとしていることでしょう。ちなみに「センチ」は「雪隠」に由来します。「雪隠」は便所のこと。「ベンジョコガネ」ではあまりにも…。

いきものばんざい(127)

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ニホンヤモリ【ヤモリは家守、イモリは井守 ~ヤモリ~】有鱗目ヤモリ科
 ヤモリは爬虫類、イモリは両生類。理科でも出てくる分類ですが、なぜ混乱するのか。それは実物を見たり触ったりしたことがないからでは。とよく思います。ヤモリは人家のそばに住み、虫を捕食するため、家を守る、ということで名づけられたといわれます(守宮とも書く)。夜行性です。イモリは昔は田んぼとかにうじゃうじゃいましたが、今は田んぼなどの水場が減ってしまって、野生で見かけることはずっと減ってしまっていると思います。住んでいるところや皮膚の感触はカエルに近いので、両生類だと実感できます。やはり実物を知るにしくはなし。画像はわが家にいる一匹であります。

いきものばんざい(126)

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ウミグモ【~ウミグモ~】ウミグモ綱皆脚目
 胴体が小さく、ほとんど脚だけが動いているように見える独特な形をしています。皆脚目という名前からして、「全部足」。クモとかサソリとかの仲間です。胴体のスペースがあまりにもないため、内臓も脚の中に押し込まれています。彼らにとっては「腹が痛い」=「足が痛い」なんですかね。最近、心臓ではなく腸を使って全身に(といってもほぼ脚なのですが)酸素を送っていることが研究でわかりました。がんばって海の底で生きています(笑)。古生代のころからすでに地球上にいたようです。

いきものばんざい(125)

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アサギマダラ【胡蝶しのぶさん御用達 ~アサギマダラ~】鱗翅目タテハチョウ科
 『鬼滅の刃』の登場人物、胡蝶しのぶを見たとき、昆虫好きなら、「あ、アサギマダラだ」と思ったことでしょう。青緑色(浅葱色)の美しい蝶です。長距離を移動することで知られるチョウですが、幼虫のころから食べ物を通じて体内に毒(アルカロイド)をため、成虫になってからも同様の毒を持つ花の蜜を吸って、体に取り入れています。この毒で身を守っているわけですね。色が美しいのも、毒を持っていることを知らせる警戒色だと考えられています。幼虫も黄色と黒で…目立ちます。画像は家の近所で見かけたもの。鳥におそわれでもしたのか、翅が一部欠けています。

いきものばんざい(124)

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ネナシカズラ【根っこはなくても生きている ~ネナシカズラ~】キク亜綱ヒルガオ科
 発芽したあと、数日以内に寄生する相手にたどりつけないと枯れるという壮絶な人生の始まり方をします。発芽すると茎を回転させながらどんどん伸ばし、うまく宿主にたどりつくと、相手の茎に寄生根をさしこみ、そこから養分を得ることで生活します。そのためネナシカズラの仲間の多くには葉緑素がありません。根と葉を捨ててしまった植物なのです。茎も、黄色とか、オンレジ色とか、赤とか、まあ植物らしからぬ色をしています。ぱっと見たら、ラーメンに見えます。これでヒルガオ科ってことはサツマイモと同じ仲間ですね。

いきものばんざい(123)

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カメノテ【けっこうおいしいのです ~カメノテ~】節足動物門蔓脚下綱
 ほんとに見た目は「亀の手」です。これでも、広く言えばエビやカニの仲間(甲殻類)ということになります。(ちなみにミジンコも甲殻類。)海岸の岩にくっついて暮らしています。波によって運ばれてくるえさを蔓脚とよばれる器官をのばしてつかまえて食べています。この殻を割って、身をゆでて食べてみるとびっくり! エビのようなカニのような味で、とてもおいしいのです。高知県や愛媛県では普通に食べられています。大きいものは6~7cm近くにもなりますから、海岸で探してみてください。昔高知県の桂浜にいったとき、坂本竜馬像そっちのけでカメノテを集めてホテルでゆでて食べたことを思い出します。

いきものばんざい(122)

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ホテイアオイ【水に浮いてる神様 ~ホテイアオイ~】ツユクサ目ミズアオイ科
 何といっても葉柄(葉のつけ根)の部分が大きくふくらんで、浮きぶくろのはたらきをしていることが一番の特徴です。これで水面にぷかぷか浮いています。名前はこのふくらみを布袋様のふくらんだ腹に見立てたものです。家の庭の池や、金魚鉢に浮かべてあるのを見かけます。水草は面白い進化をしているものが多く、水上や水中は陸上に比べて競争相手が少なかったのか、そこに進出するためにさまざまな工夫をしています。花は画像のとおり、非常に美しい花をつけます。ウォーターヒヤシンスとも呼ばれます。