いきものばんざい(34)

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コオロギ【秋の声 ~エンマコオロギ~】直翅目コオロギ科

日本にいるコオロギの最大種です。気温が下がる夏の夜から秋に美しい声で鳴き、風情を感じさせてくれる虫の一つです。もっとも、「鳴き声」といっても、正確には前翅をこすりあわせて音を出しますので鳴いているわけではありません。(鳴くのはオスだけです)バッタの仲間は鼓膜をもった耳を持っており、コオロギでは前脚のつけねに耳があります。地面に近い方が危険を察知しやすいのでしょう。昆虫の耳は、ヤガでは羽のつけ根に、スズメガでは口器の根元、カマキリでは胸部のくぼみの中に、コガネムシでは頭部のつけ根に存在しています。生きものにとって、耳は脳の近くにある、とは限らないのですね。

いきものばんざい(33)

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ラミーカミキリ【ガチャピンがタキシード ~ラミーカミキリ~】鞘翅目カミキリムシ科

昆虫の模様は左右対称であることが基本なのですが、時としてそれが面白い模様になっていることがあります。このラミーカミキリは以前、「ガチャピンがタキシードを着た虫を見た」という投書を某番組で取り上げていたものですが、言われてみればまったくその通りの模様です。何とか紹介したくて探し回っていたのですが、ようやく発見したので、ごらんください(笑)。画像を検索してもらうともっとはっきりした画像が出てきますので、そちらでもお楽しみください。ちなみに「ラミー」は食草の名前です。

いきものばんざい(32)

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トケイソウ【ちゃんと三本そろってます ~トケイソウ~】キントラノオ目トケイソウ科

めしべの先が三つに分かれていて、それが時針・分針・秒針に見立てられています。花の形も文字盤に見えますね。で、「時計草」。凝ったつくりで、園芸品種にはもっと複雑な形のものもあります。この見立て、生物名にはよく使われています。ウラシマソウ、ハナイカダ、ヌスビトハギ…なぜそういう名前になったのか実物を見るとよくわかります。(正直よくわからないものもありますが…昔の人の感性と違うのでしょうね。)
ちなみにクダモノトケイソウの実のことをパッションフルーツといいますが、この「パッション」も見立てが使われています。

いきものばんざい(31)

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コメツキムシ【背面ジャンパー ~コメツキムシ~】鞘翅目コメツキムシ科

色は地味ですが、仰向けにしてやると、パチンといってはね上がる性質があり、子どものとき遊んだ人もいるでしょう。結構高くまではね上がります。音も大きい。何度もひっくり返すと疲れるのかあきらめるのか(笑)、少し休憩をとります(おそらく)。バッタやノミなど、はねる虫はたくさんいますが、背面ではねる虫はなかなかいません。ひっくり返ると起き上がれないものも多い甲虫の仲間の中では異色の存在です。種類も多く、大型で目立つ種以外はなかなか見分けが難しい昆虫です。昔はミノムシに色紙の紙片や毛糸でミノを作らせたり、カミキリムシにいろいろなものを噛み切らせたり、カブトムシが重たいものをどこまで引っ張れるか試したりと、けっこう虫で遊んでましたが、今の子どもたちは…どうなんでしょう。

コメツキムシ背面

いきものばんざい(30)

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オオスカシバ【ハチドリではありません ~オオスカシバ~】鱗翅目スズメガ科

うぐいす色の太い体、長い口吻(こうふん)、ホバリングしながら蜜(みつ)を吸う…しかも腹部の先端の左右についている、鳥の尾羽に見える黒い毛の束。日本で「ハチドリを見た!」という人のほとんどがこのガを見間違えていると思われます(ハチドリはアメリカにのみ生息)。スカシバは「透かし羽」。羽は透明です。日本で一番美しい昆虫だといわれることもあるこのガは、飛ぶ姿も非常に優雅(ゆうが)です。見ていると、確かにハチドリに見えなくもありません。高速で飛ぶ一方、ホバリングもできるガはそうそういません。目もかわいいんですよ。

いきものばんざい(29)

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アヒル【アヒルとガチョウって何が違う?】どちらもカモ目カモ科

 アヒルはマガモを人間が飼いならしたもので、ガチョウはガンを家畜化したもの。遠い親戚という感じです。いずれも飛ぶ力はほとんどなくなっています。くちばしの形と首のカーブが見分けるポイントです。といってもどっちもあまり見ないか。アヒルは卵や肉が食用となっていますが、現在カモ肉として出回っているものはほとんどがアヒルのものです。一方、ガチョウはフォアグラやダウンジャケットなどで有名ですね。いずれにしても人間に身近な利用をされている動物はかなりの種類いるもので、夏休みの宿題で調べてみてはどうでしょうかね。

いきものばんざい(28)

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カタバミ【種子散布作戦 ~カタバミ~】カタバミ目カタバミ科

 植物にとってどうやって種子を広い範囲に散らせるか、というのは種の存続の大問題です。鳥やけものに運んでもらう、風にのって飛んでいく…さまざまな作戦がありますが、自力で種を遠くへ発射する、というのが最初でしょうか。カタバミは、熟した果実をさわると、はじけて種子を遠くへはじきとばします。1mくらいは飛びます。見つけたらぜひさわってみてください。種子にはエライオソームというアリの好む物質がついていることもあり、アリが運んでくれることも計算に入れているようです。さらに葉っぱは朝に開き、夜にはとじてしまいます。夜ふかしなし。健康的です(笑)。

いきものばんざい(27)

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ハリガネムシ【宿主を操る蟲 ~ハリガネムシ~】(類線形動物門線形虫綱)

寄生虫としてよく知られている動物です。表面がクチクラでおおわれているため、乾燥すると本当に針金のようにカチカチになります。彼らがすごいのは、宿主を操ること。水の中で産まれたまだ数㎜のハリガネムシの幼体はカゲロウやボウフラなど(仮宿主)に食べられるのを待ちます。そして自分を食べたカゲロウたちがカマキリやコオロギ、カマドウマ(宿主)に食べられると、その体内で大きく育ち、30㎝ほどにまで成長します。そのあと何と! 水の中へもどるために宿主を操り、水辺へ向かわせるのです。操られたカマキリの脳からタンパク質が見つかっており、これが影響を与えているらしい…どうやってこんな能力、獲得したんですかね。

いきものばんざい(26)

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サラセニア【虫がサプリ代わり ~サラセニア~】ウツボカズラ目サラセニア科

よく知られている食虫植物です。もちろん、自前で光合成もしますが、土の中の栄養素が不足しがちな湿地に生えることが多く、栄養分を補うために昆虫などをとらえて養分を吸収してしまうという特徴を持っています。葉が筒状の袋のようになっており、そこに落ちた昆虫は中の消化液や細菌によって分解されます。あーこわ。帰り道にこんなのが道で口を開いとったらヤバイですね。つくづく人間に生まれてよかった。他によく知られている食虫植物に、ハエトリソウ、ウツボカズラやモウセンゴケがあります。どれも変わった捕虫のしかたをする、興味深い進化をしています。

いきものばんざい(25)

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ケラ【水陸地中全対応型昆虫 ~ケラ~】バッタ目ケラ科

バッタ目の中の、コオロギグループの仲間です。地中の生活に特化していて、特に前足が土を掘るために適した形になっています。力も結構強い。てのひらに入れておくと、何とか指のすき間を両前足でこじあけようとするその力の入り具合が楽しい虫です。一応、空も飛べます。しかも泳げます。その「ジー…」という鳴き声は、昔はミミズの声だと考えられていました。さて、ケラの前足の形は全く異なる種である哺乳類のモグラの前足とよく似ています。これは、同じような環境に置かれたときに似たような形に進化するというもので、「収斂進化」といいます。魚類のサメと哺乳類のイルカの姿が似ているのもその好例です。