いきものばんざい(53)

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ネコ【ゴムのような体 ~ネコ~】食肉目ネコ科

 ネコの運動能力の高さはよく知られているとおりです。高いところへぱっと飛び上がったり、逆に飛び降りたりする姿をよく見かけます。全身の関節や筋肉がやわらかいため、木に抱きついて木登りもできますし、身体を瞬時にねじって着地、なんていう芸当もできます。背中を丸めて獲物に近づき、攻撃する瞬間にバネのようにとびかかれるのも、背骨がしなやかに伸び縮みするため。「猫背」になっているおかげで高い能力を持っているともいえます。おまけに内臓もかなり自由に動くため、狭いところでも通り抜けることができます。
模様がいろいろあるのも動物の種としてはめずらしいことです。

畑のありんこ(52)

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ナミアゲハ【靴下化学兵器発動 ~アゲハチョウ幼虫~】鱗翅目アゲハチョウ科

 アゲハチョウの仲間ではナミアゲハをよく見かけます。ぱっと見ただけではキアゲハと区別がむずかしいですが、キアゲハはもっと濃い黄色をしています。成虫は似た雰囲気ですが、幼虫はかなり見た目が違います。各アゲハチョウの幼虫が見分けられるようになるとなかなかの通ですが、彼らの共通点として、つつくと頭と胸のさかいめから、臭角という角をつきだすことがあります。ふだんは靴下を裏返したようなかたちでしまわれていますが、刺激を受けると、これを体外へ押し出し、においで敵を撃退します。においは生き物にとって、さまざまな目的で使われる手段になっています。

いきものばんざい(51)

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シャガ【3倍体 ~シャガ~】キジカクシ目アヤメ科

 普通の生き物は、両親から1組ずつもらった、計2組の染色体(生物のもとになる情報…DNA)を持っているのですが、3組の染色体をもっている生き物もいます。これらの生き物のことを「3倍体」といいます。ヒガンバナ、シャガなどがその代表です。これらの植物は「不稔性」といって、種子ができにくくなっています。染色体が3組あるので、うまく3つに分かれていかないためです。バナナや種なしスイカはこの性質を利用しています。魚ではアユやアマゴ。3倍体のメスは卵を産まないため、その栄養が成長に回り、大きくなることが知られています。自然環境の変化によっても3倍体になるものがあることがわかっています。

いきものばんざい(50)

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トビウオ①【おれら飛行倶楽部 ~トビウオ~】ダツ目トビウオ科

敵からのがれるため、尾びれで海面をたたいて飛びだし、胸びれを広げて滑空する魚です。滑空といっても数百m飛ぶこともあり、かなりのものです。もちろん遊覧飛行ではなく命がけで飛んでいるのですが、海中しか知らない他の魚に比べれば、異世界をちょっとだけ知っている魚になりますね。
ムササビやモモンガ以外にも、トビトカゲは皮膚の膜を広げて飛び、トビイカはろうとから水を噴射して飛び、トビヘビは体をひらべったくして滑空する。彼らには大空へのあこがれや飛びたいといった衝動があったのでは…!? とつい考えてしまいます。

トビウオ②

いきものばんざい(49)

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エノコログサ【ねこじゃらし ~エノコログサ~】イネ目イネ科

 どちらの名前も聞いたことがあると思いますが、「エノコロ」は「犬っころ」から。犬のしっぽみたいな草ということです。大体日当たりのいい場所に生えています。葉っぱを見るとわかるように単子葉植物ですが、単子葉植物は葉脈もまっすぐ、根もひげ根で枝分かれしない直線構造、茎の断面をみても形成層がありません。つまり、複雑な枝分かれ構造を放棄し、ひたすら直線構造での成長を選んだ植物群なのです。さらにイネ科はケイ素(水晶の成分です)をとりこんで茎などを固くし、補強しました。ススキの葉で指が切れるのはこのため。イネ科は現在大繁栄していますが、戦略勝ちといったところ。

いきものばんざい(48)

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ジャコウアゲハ【食うと中毒するぞ ~ジャコウアゲハ~】鱗翅目アゲハチョウ科

 オスが麝香(じゃこう…香りの名前。ムスクとも)のような香りを出すことからこの名前があります。食草が毒をふくむ植物なので、幼虫時代にためこんだ毒がそのまま成虫になっても体内に残ります。そのため、ジャコウアゲハを餌として食べると、中毒を起こしてはき出してしまいます。敵はそれ以来ジャコウアゲハを食べなくなるので、こうやって種を守るわけですね。これを利用して、みずからをジャコウアゲハに似せているものがあります。クロアゲハやアゲハモドキなどがそうだと考えられていますが、こういった毒を持つ生物と同じ色や模様を用いて、食べられないようにする擬態のことを「ベイツ型擬態」といいます。

いきものばんざい(47)

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スミレ【遠くへ遠くへ ~スミレ~】キントラノオ目スミレ科

 足元でひっそりと咲いているイメージのスミレですが、結構たくましい植物でいろんな場所で見かけます。スミレは咲いた花ではほとんど受粉しません。花の時期が終わったあとに、花の開かない花(変な日本語ですが、これを閉鎖花といいます。)ができ、この中で自家受粉をして種を作ります。この方がエネルギーを使わず、多くの種を作れるという計算なのでしょうか。果実は熟すと種子を2~5m近くまではじきとばします。さらに種子の表面にはエライオソームという、アリが好む物質がついているので、アリはこれを巣へ持ち帰り、まわりだけ食べてあとはポイ。こうやって種子を遠くまで運ぶのです。

いきものばんざい(46)

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カブトガニ【クモに近いんだけど ~カブトガニ~】節足動物門カブトガニ科

医学に興味がある人は、カブトガニの血液が医学や薬学の発展に貢献していることを知っているかもしれません。私たちの血液は鉄分を含むため赤く見えますが、カブトガニの血液は銅を含むので青色をしています。そしてその血液は細菌に反応してネバネバした固体で包んでしまう性質があるため、人間に行う注射やワクチンが無菌かどうかを確かめるのに使われているのです。カブトガニの血液を採集する専門工場もあるくらいです。「生きている化石」としてよく知られていますが、今年の3月には、研究の結果、クモ綱に属するという発表がありました。瀬戸内海などの生息地の破壊が進み、今世紀中には絶滅するといわれています。

いきものばんざい(45)

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オウサマペンギン【日本はペンギン王国 ~ペンギン~】鳥綱ペンギン目

 世界で飼育されているペンギンの4分の1が日本にいると言われます。陸上ではよちよち歩きなのに、水中ではまるで空を飛んでいるかのように高速遊泳するギャップが動物園の行動展示などで有名になりました。潜水能力は鳥類で最もすぐれていますが、コウテイペンギンが高速で泳ぐ際、羽毛にたくわえた空気から気泡を発生させることで、水と体との摩擦を減らしていることが観察されています。潜水艦を泡で包みこみ、水の抵抗を減らして高速を実現する技術を「スーパーキャビテーション」といいますが、すでにペンギンがやっていた。…自然にはまだまだ学ぶことがたくさんありますね。

いきものばんざい(44)

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メジロ【小さい美声家 ~メジロ~】スズメ目メジロ科

目の周りが白い小鳥です。鳴き声が非常に美しいことから、江戸時代には「鳴き合わせ」という、一種の競技まで行われており、最近までこの競技のためにメジロを飼う人が多かったようです。鳥獣保護法で飼育が禁じられるまでは、網でいっせいにとらえて、鳴き声の美しいオスだけを選ぶなどということも行われていたようです。現在では原則として飼育禁止です。(これはスズメなども同じです。)
冬にミカンを半分に切って枝などにさしておくと、わりに姿を見せてくれます。枝に連なってとまることもあることから「目白押し」の語源ともなっている鳥です。