いきものばんざい(63)

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オオミズアオ【チョウはガなんです】チョウ目(鱗翅目)
 チョウとガは別の生きもののようにあつかわれていて、チョウは昼間に活動する美しいグループ、ガは夜に活動する地味でややよごれた印象のもの、と受け止められていることが多いようです。活動時間以外にも、触角のかたちや止まり方など、そのちがいはさまざまに言われていますが、そのどれにも例外があって、確実な分け方ではありません。昼間に活動するガは色もあざやかで派手なものもいますし、日かげで活動するチョウは地味な色のものも少なくありません。いつ活動するかによって進化の方向がちがってきたのでしょうが、ガはずいぶん損をしているような気がします。
サトキマダラヒカゲ

いきものばんざい(62)

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ヒヨドリ【~ヒヨドリ~】スズメ目ヒヨドリ科

ヒーヨ、ヒーヨ、という鳴き声が名前の由来だともいわれる鳥です。比較的大きく、庭にミカンなどを置いておくとすぐに姿を見せます。で、すぐに餌場を占領します。ボサボサ頭に、ほっぺたの褐色、灰褐色の体と、他の鳥と見間違えようのない鳥でもあります。ヒヨドリは波状飛行といって、羽ばたいて上昇したかと思うと、羽をとじて滑空する、ということを繰り返す面白い飛び方をします。渡りもするため、ずっと羽ばたき続けるよりは筋肉を休ませることができるということらしいのですが…本当のところは彼らにきいてみないとわかりません(笑)。

いきものばんざい(61)

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ハナミノカサゴ【姿はあでやかだけど ~ハナミノカサゴ~】条鰭綱カサゴ目

色や模様が派手な場合、毒をもっているケースが結構あります。スズメバチやテントウムシもそうですね。海外のカエルやヘビの中にも非常に目立つ色や模様のものがいます。ミノカサゴは優雅なひれをもつため「海の貴婦人」ともよばれますが、あのひらひらとしたひれはおそらく海藻やサンゴに擬態しているのではないかともいわれています。ミノカサゴも背びれに毒のあるトゲがあり、危険な魚として知られています。周囲の風景にとけこんでいる毒を持った生物。こんなやつが公園の植えこみや家の生け垣にひそんでいたら…。かれらが海中の生きものでよかった。でもきれいですよ、その姿。

いきものばんざい(60)

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ジョウゴゴケ【コケじゃないっす ~ジョウゴゴケ~】菌界子嚢菌門ハナゴケ科

 「コケ」という名前がついていますが、コケ植物ではなく、地衣類です。確かにコケに似ていますが、キノコやカビに近い仲間で、藻類を共生させることによって光合成を可能にしたグループです。木によくくっついているウメノキゴケを見たことがあるのではないでしょうか。「リトマス試験紙」も地衣類のリトマスゴケから作られたものなんですよ。かわいいもの、面白いかたちのものが多く、見ていてなかなか楽しい生きものです。山に行ったときにジョウゴゴケを見つけたので、画像を撮りました。

いきものばんざい(59)

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ヤギ【上の歯はありません。 ~ヤギ~】鯨偶蹄目ウシ科

ウシやキリン、ヤギ、ヒツジなどのウシ科の動物には上の歯がありません。そのかわり、上の歯茎が非常にかたくなっていて、下の歯を包丁にたとえるなら、上の歯茎がまな板のような関係になっています。これで草を噛みきっています。で、アニメ映画「となりのトトロ」に出てくるヤギには上にも歯が描かれており、これはわざとか? それとも作画ミスか? ウマには上下とも歯があるから、そのイメージがあったんでしょうかねえ。ヤギは目もなかなか面白くて、瞳孔が四角くて水平です。見える範囲を広げるためだそうですけれど、草食動物の進化の意地を感じます。

いきものばんざい(58)

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【トゲだらけの人生 ~ウニ~】棘皮動物門ウニ綱

ムラサキウニクリとかサボテン、ハリセンボン、ヤマアラシなど敵から身を守るために全員をトゲでおおう、というのはわりによく見られる方法です。ウニのとげは防御だけでなく、移動にも使われるところが出色です。ある実験では分速10センチとか。時速に直すと6メートル。食欲は旺盛で、たくさんいるところではコンブなどの海藻を食べつくしてしまうこともあります。そのウニの口は五本の歯からなる器官になっており、ウニが五放射相称の生きもので、ヒトデに近い仲間だということがわかります。ウニの口は、通称「アリストテレスのちょうちん」といいます。タコノマクラといい、カシパンといい、ウニの名前には愉快な名前が多い気がします。

いきものばんざい(57)

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カマキリ【拝み虫 ~カマキリ~】カマキリ目カマキリ科

 鎌のような前脚で獲物をとらえる肉食性の昆虫です。獲物をねらっているときはボクシングのポーズにも見えますね。熱帯地方には、獲物に気づかれないようにするため、ランの花や枯れ葉に擬態したカマキリもおり、なかなかに見事な姿です。(「ハナカマキリ」「カレハカマキリ」で画像検索してみてください。カレハカマキリにいたっては、枯れた葉の葉脈まで再現しています)これに比べると日本のカマキリ、地味かも…。昔の人は、カマキリが鎌を体の方に引き寄せた姿を何かを拝んでいるように見立て、「拝み虫」とも呼んでいたそうです。個人的には「いただきまーす」に見えてしまいます。

いきものばんざい(56)

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ナツアカネ【赤とんぼ ~ナツアカネ~】トンボ目トンボ科

 秋になると山野を中心に赤とんぼをよく見かけるようになります。とはいえ、赤とんぼは通称名で、アキアカネ、ナツアカネ、リスアカネ、マユタテアカネなどさまざまな仲間がいます。区別はなかなか難しく、色だけでは簡単に判別できません。この赤色も、これまでは成熟した個体が赤くなることから、婚姻色(繁殖期に現れる平常とは違う色)の一種だと考えられてきましたが、最近の研究で日なたで活動するオスが紫外線を防ぐためではないかという推論が出されています。ではなぜそれが夏ではなく秋なのか? なぜオスに多いのか? まだまだ謎が残されています。

いきものばんざい(55)

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ネジバナ【小さなラン ~ネジバナ~】ラン目ラン科

 知る人ぞ知る、雑草のような小さなランで、芝生や草地でよく見かけます。茎のまわりにピンク色の小さいかわいい花がらせん階段のようにつきます。おどろくべきことに、一つの花に数千個から数万個の種を作るといわれています。ただ、種がとても小さいので、栄養をたくわえる「胚乳」がありません。このため、自力での発芽が難しく、ネジバナに共生している菌から栄養をもらって発芽しています。花がかわいいので育てたいという人も多いのですが、ランというと栽培が難しい印象がありますね。このネジバナもなかなか人工的には発芽しないことで知られています。

いきものばんざい(54)

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キイロスズメバチ【毒のカクテル ~スズメバチ~】ハチ目スズメバチ科

 スズメバチはハチの中でも大型のものが多く、刺される事故も多く報告されています。毒針を持っているのはメスだけなので、オスは刺しません(刺すふりはします)。ただ、ばっと見てオスかメスかを見分けるのは難しいので、近づかないようにしたほうがよいですね。秋に山野にいくときは黒い服を避けろ、というのは、スズメバチが黒い服や帽子を見ると興奮して攻撃してくることがあるからです。これは、スズメバチの巣をおそい幼虫を食べることのある大型の哺乳類(たとえばクマ)が黒かったり、その弱点が黒い部分(目や鼻、耳の穴など)だからだとも考えられています。