畑のありんこ(367)

川野夏橙と書くと人名のようですが、甘夏のことです。
かわのなつだいだい、と読みます。
夏みかんの枝変わり品種として栽培が盛んになってきた歴史を持つ品種ですが、この枝変わりというのは植物ならではのものです。

「枝」変わりというだけあって、ある植物のある枝にだけ起きる突然変異です。
甘夏(90度右)成長点に何らかの変異が起き、そのために葉や花、果実などに変異が発生します。
農業や園芸の世界では、従来別の品種をかけあわせることで多くの品種が生み出されてきましたが、この枝変わりは偶然が生んだ品種といえます。
それを見つける人もやはり育てている人ならではの目の持ち主ということですねえ。
普通なら、あれ、こいつ変わってんな、で見過ごしそうな気がします。

現在生産されている柑橘の中にはずいぶんこの枝変わり品種がメインになっているものも多く、私たちは知らずその恩恵を受けていることになります。
通常であれば枝だけに起きた変異が多くの株に広まっていくことはありませんから、その枝を挿し木するなどして増やしていった結果ではありますが。

甘夏は1~2月にかけて収穫し、そのあと寝かせて酸を抜きます。食べごろは4~5月くらい。
昨年は木を休ませようと思って早めに収穫しましたので、今年は少し遅らせるつもりです。
まだ枝が細いので、重い実が枝をたわませてます。
雪が積もって折れたりしないように…。

普通の温州ミカンも80個くらいなっています。
こっちはぼちぼち食べ始めてますが、実の数をしぼると実も大きくなりますね。
我が家の貴重なビタミンC補給源となっております(笑)。

(五日市教室A)