いきものばんざい(13)

カテゴリー: ■いきものばんざい

 クモタケ【冬虫夏草 ~クモタケ~】子嚢菌門ボタンタケ科

漢方薬でも知られる「冬虫夏草」は、蛾の幼虫に寄生するキノコの仲間です。
冬は虫で過ごし、夏になると草となって生えると考えられていました。
クモタケは、キシノウエトタテグモという原始的なクモに寄生するのですが、このトタテグモの仲間は面白い生態を持っています。
網を張らず、巣穴に近づいた獲物を飛び出してつかまえるのですが、この巣穴に泥やコケをはりつけた蝶番つきのふたをつけているので「トタテグモ」。
地面と区別がつかず、そう簡単には巣穴が見つけられません。
あれ? クモの話になってしまいました。
画像は広島市植物園で撮りました。
ついでにハチタケの画像ものせておきます。

ハチタケ

いきものばんざい(12)

カテゴリー: ■いきものばんざい

アオリイカ【先進的デザイン ~イカ~】(軟体動物門頭足綱)

イカやタコはアンモナイトやオウムガイと同じ仲間、頭足綱に属しています。進化の過程で殻を捨ててしまったと考えられていますが、イカはスマートな形で洗練されていると思います。
イカは非常に面白い生きものです。
瞬時に色を変えられますし、眼が非常に高性能で、脊椎動物と変わらないほど。
スミをはいて敵の目をそらすのですが、タコのスミとちがって広がらないので、煙幕がわりではなく、身代わりとなるものを作り出しているつもりらしい。深海性のイカの中には自分の体の中にスミをはき、暗闇と同化するなんてやつもいます。逆に発光バクテリアを体内で飼い、それを放出して敵の目をひき、逃げるものもいます。

いきものばんざい(11)

カテゴリー: ■いきものばんざい

【再生 ~ニホントカゲ~】有鱗目トカゲ科
ニホントカゲ
いわゆる「トカゲ」で、そこらの草原や畑などでよく見かけると思います。しっぽが切れることで知られていますね。敵がピクピク動くしっぽに気をとられているすきに逃げてしまう…というある意味おそるべき方法で身を守ります。これ、人間におきかえるとものすごい方法ですね。しっぽは再生します。(ただし骨は再生しません。)
ほかにも再生する力を持つものはたくさんいます。カニのはさみは有名ですね。イモリは手足や目玉さえも再生します。プラナリアにいたっては切断した数だけプラナリアとして再生します。すごい。

いきものばんざい(10)

カテゴリー: ■いきものばんざい

ブチサンショウウオ (1024x768)【いつもしっとり両生類 ~サンショウウオ~】(有尾目サンショウウオ科)

オオサンショウウオは最大1.5mにもなる世界最大の両生類として知られていますが、他の種類は多くが20㎝以下と、かわいらしい存在です。写真はブチサンショウウオ。
幼生はエラで呼吸し、成体は肺と皮膚で呼吸します。カエルなどの両生類のからだがいつもぬれているのはそのため。
アホロートル(メキシコサラマンダー)を知っていますか。昔ウーパールーパーという名前で売られていました。アホロートルの顔の横にあるびらびらはエラです。このように、幼生の形態を残したまま成熟することをネオテニー(幼形成熟)といいます。人間もそうだという説もあるんですよ。

いきものばんざい(9)

カテゴリー: ■いきものばんざい

ツチグリ【胞子発射の妙 ~ツチグリ~】(ニセショウロ目ツチグリ科)

ツチグリというキノコがあります。林の中などで比較的目にすることのあるキノコです。
雨がふると外皮がそり返り、中の袋状の部分がむき出しになります。乾燥すると外皮が丸まり、その際に袋がおされて胞子が出るのですが、雨だれが袋に落ちても、見事! 胞子が吹き出します。
ホコリタケの仲間も動物の振動とか雨だれによって胞子を上部の穴から放出します。
なかなか鋭い進化をした菌類です。見つけたら、ぜひ指でそっとつついてみてください。ぽふっ!
一応、食用、だそうです。

いきものばんざい(8)

カテゴリー: ■いきものばんざい

クツワムシ【殺人的音響兵器 ~クツワムシ~】(バッタ目キリギリス科)

ある夜、隣の家のあたりから大きな電子警報音が聞こえ始めたのですが、いつまでもやみません。何が起きたのか? とおっかなびっくり音源を捜してみると、クツワムシがいました。大きさ5~6㎝と、キリギリスの仲間では最大です。鳴き声も非常に大きく、「ガチャガチャ」と形容される大音響で鳴きます(最初クツワムシの声とは思いませんでした。捕まえたやつの鳴き声は私にはジリジリに聞こえました。ひょっとしてタイワンクツワムシなのかもしれません)。部屋の中で飼育するには覚悟が必要だとも言われます。
轡(くつわ…馬の口につける道具)を鳴らす音に似ているということからの名前ですが、各都道府県で絶滅危惧種、準絶滅危惧種に指定されているほど数を減らしています。動きも鈍く、飛ぶのも下手、したがって環境が急変しても移動、回復が難しいこともその原因になっています。私も捕まえたのは30ウン年ぶり。まだいたんだ…とほっとした夜でした。

いきものばんざい(7)

カテゴリー: ■いきものばんざい

シオカラトンボ【とんぼのめがね ~シオカラトンボ~】トンボ目トンボ科

「とんぼのめがねは水いろめがね 青いお空をとんだから」という歌のモデルがシオカラトンボだといわれています。とても身近なトンボでいたる所で観察できます。オスは成熟すると胸部や腹部に白い粉がついてきますが、これを「塩」に見立てた命名です。目は、水色です。これに対してメスは「ムギワラトンボ」と呼ばれることがあるとおり、黄色っぽい色をしています。目は、緑色。知らないと別のトンボに見えてしまいます。
オスとメスとで体格や色などが異なることを「性的二形」といいます。動物にはよく見られる現象です。

いきものばんざい(6)

カテゴリー: ■いきものばんざい

ヘコアユ、チンアナゴ (800x600)【上向きと下向き ~ヘコアユ、チンアナゴ~】(トゲウオ目ヘコアユ科、ウナギ目アナゴ科)

水族館にいくと、面白い生態の魚がけっこう飼育されています。その中でも人気上位がチンアナゴです。体の下半分を砂を固めた穴に入れ、上半身だけを水中に出している姿がとてもかわいい魚です。しかも群れで同じ方向を向いているので一層ユーモラスです。水流にのって流れてくるプランクトンを食べているので同じ方向を向いているというだけなのですが、でもなんだか楽しい。何か注目しているように見えますもんね。人生、じゃない魚生、常に直立しているように見えます。
逆に頭を下に泳ぐ魚として有名なヘコアユ。縦になっているのはウニの仲間ガンガゼの針の間に頭をつっこんで針に擬態しているからだと考えられています。頭を下にしとけば、ウニの針に守られて安全ですもんね。
一緒にうつっているちょっと派手な細長い魚は、オイランヨウジウオです。

いきものばんざい(5)

カテゴリー: ■いきものばんざい

シジュウカラ【文法を使う鳥 ~シジュウカラ~】スズメ目シジュウカラ科

「ツピー、ツピー、ツピー」と、きっと多くの人が聞いたことのある声で鳴く、のどから胸へ続く黒線がネクタイのようでチャーミングな小鳥です。
最近の研究で、シジュウカラが単語を組み合わせて簡単な「文」にあたるものを作っていることが明らかになりました。単語の順番を変えて鳴き声を聞かせると、反応が異なる結果となったそうです。
ひな鳥に危険を伝える場合や、仲間を集めて共同で天敵を追い払う合図などに鳴き声を使っているだけでなく、そこに文法的な意味がある。私たちの回りには動物たちの言葉が満ち溢れているのかもしれません。

いきものばんざい(4)

カテゴリー: ■いきものばんざい

ジャノメチョウ【目でだませ ~ジャノメチョウ~】(鱗翅目タテハチョウ科)
 羽に目玉模様のあるチョウやガを見たことはありませんか。中にはヒメウラナミジャノメのように、やたらたくさんの目玉模様を持つものもいます。識別が大変…。
 あの目玉模様の働きについては、いろいろな研究がなされています。最も多く知られているのが、鳥が目玉模様をおそれる、というものです。これは実験で実証されています。よく畑などにも鳥よけの目玉模様のついた風船がありますね。中にはフクロウチョウのようにでっかい目玉を持つものもいて、なるほどとうなずけます。小さい目玉模様は攻撃をそこに向けさせる効果があるということで、大切な頭部などを攻撃から守るのではないかといわれています。チョウの幼虫も偽の目の模様を持つものも多いですね。
ジャノメチョウ2