いきものばんざい(24)

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ウチワサボテン【武装してツインカム ~サボテン~】(ナデシコ目サボテン科)

サボテンは面白い植物です。まず形が面白い。葉が針状になっていて動物に食べられるのを防ぐとともに、砂漠の日差しや砂(すな)嵐(あらし)よけにもなっています。ただ、針状の葉では光合成の効率が悪いので、茎を太く丸くしてそこに葉緑体を持つ。ついでに水分もそこに蓄(たくわ)える。また、昼に気孔を開けると水分を余計にとられるため、夜に気孔を開けて二酸化炭素をとりこみ、光合成は昼に行うというしくみ(CAM型光合成)を獲(かく)得しています。さまざまな手を使って過(か)酷(こく)な環境に適応してきたのですね。樹液を石(せっ)鹸(けん)として使ったり(シャボンの語源)、食べたり(ドラゴンフルーツもサボテンの仲間です)と多彩な面も持っています。

いきものばんざい(23)

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スイレン【水に浮かぶ戦略 ~スイレン~】(スイレン目スイレン科)

池の底から茎をのばして、水面に葉を浮かべるところがハスによく似ていますが、進化の系統が異なることがわかってきました。スイレンの葉にはハスの葉のように水をはじくはたらき(ロータス効果といいます。葉の上で水玉がころころ転がります)はなく、レンコンもできません(笑)。普通の植物では、光合成や呼吸、蒸散で使う気孔は葉の裏側に多いのですが、スイレンは葉が水に浮かんでいるため、気孔が表側にある、という変わり者でもあります。また、茎が葉を支えなくてもよいので、成長や開花にエネルギーを回せると考えられています。ハスの方は…葉が水面から飛び出しています。雰囲気は似ているけれどもよく見ると違う。よく観察すると生き物のいろいろな生存戦略が見えてきます。

いきものばんざい(22)

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ハト【昔伝書バト今メール ~ハト~】(ハト目ハト科)

広島に住んでいると、ハトといえば平和公園、のようなイメージになってしまいますが、平和の象徴、童謡「鳩ぽっぽ」、鎌倉のお菓子「鳩サブレ」…スズメやツバメと並び、身近なイメージの鳥であることは間違いありません。
電線にとまって鳴いているのはたいていはキジバトですが、平和公園に多いのはカワラバト(ドバト)です。
このカワラバトの持っている強い帰巣本能を利用して、以前は新聞社や軍隊が手紙や通信文を運ぶ手段として伝書バトを使っていました。
通信手段の発達した今では、鳩レースとしてわずかに残っていますが、ハトの帰還率がどんどん下がっており、その原因は不明です。
携帯電話の電磁波が影響しているという説もあります。
携帯電話が動物に影響を与えているかも…しれないのです。

いきものばんざい(20)

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ダリヤイソギンチャク【小さな針を発射する ~イソギンチャク~】花虫綱イソギンチャク目

 水槽の中でゆらゆらとゆれているイソギンチャク。見ているといやされるという人も多いと思いまうが、彼らは、刺します。イソギンチャクやクラゲは、口のまわりについている触手の先に、「刺胞」という小さな針を打ち出す細胞を持っています。この針で獲物をとらえるわけです。イソギンチャクは岩などにくっついていることがほとんどなので、来た獲物を確実にとらえないといけないからでしょうか、中には毒液を注入するものまでいます。その毒の多くは人間にとっては微弱なものなのですが、中には激痛が起こる毒を持つ種類のイソギンチャクもいますから、磯では注意してくださいね。

いきものばんざい(19)

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カタツムリ【カタツムリってだれ?】(軟体動物門腹足綱)

実はカタツムリという名は、特定の生物種を指す名前ではなく、陸にすむ、とがっていない巻貝の総称という感じで使われている日常語です。日本には700種類以上いるといわれ、区別が大変なグループですが、身近な生き物なので親しまれています。彼らは殻とともに成長するため、そのカルシウムをとるためにコンクリートを食べているといわれています。他にも貝のくせに肺がある、一匹でオスとメス両方の役割をする(雌雄同体)など、つっこみどころ満載。殻がいつもすべすべなことが注目され、汚れないタイルの研究対象にもなっているそうです。
(画像はたぶん…ウスカワマイマイ)

いきものばんざい(18)

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ジョロウグモ【風に乗ってどこまでも ~ジョロウグモ~】クモ目ジョロウグモ科

ジョロウグモはコガネグモと同様、民家でよく見られるわりと大型のクモです。クモは網を張って獲物をとらえますが、この網(糸)を移動にも使うことが知られています。暖かい日、地上から上昇気流が生まれると、子グモはおしりから糸を出します。この気流に乗って糸が広がり、風にのって飛んでいくというやりかたです。枝の先からぶら下がって、まるでタンポポの種のようなかたちで飛んでいく方法も観察されています。これをバルーニングといいます。ある日気づいてみると自転車の車輪にクモの巣が張られていた、なんていうのはこれが原因かも。3000mもの高さに上がったり、数kmを移動したりと、想像以上に移動します。生物が生息範囲を広げようとする力に驚きます。

いきものばんざい(17)

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ラッパズイセン【がくはどこ? ~スイセン~】(キジカクシ目ヒガンバナ科)

ニホンズイセンは冬から春にかけて咲きます。
毎年同じ場所に咲くので多年草だとわかりますね。
古い時代に中国から帰化したものと考えられています。
花びらは普通、3枚、5枚、8枚、11枚…となっているものが多いのですが、スイセンは一見6枚に見えます。
花びらに見える6枚のうち、3枚がほんとうの花びらで、残りの3枚はがくです。
うらをのぞいてみると、見慣れたかたちのがくがないのがわかると思います。チューリップも同じですね。

いきものばんざい(16)

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トド【北の海の巨漢 ~トド~】(ネコ目アシカ科)

北太平洋からオホーツク海、ベーリング海などの冷たい海に分布しています。
オスは体重1000キログラム。つまり1トン。
夏場はかなり減るそうですが、冬場は脂肪を蓄えるため、巨体化するとのことです。
みやじマリンにつがいがいますが、まあ確かに大きい。前足ではりたおされたらふっとばされて気絶しそうです。
ときどき分類を見ていると、思いがけないところに分類されていて驚くことがあります。
アシカやトドがネコ目だというのも実感としてはどうでしょうか…(笑)。
あっかんべえをしてくれました。

いきものばんざい(15)

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カモ群れ冬になると多くのカモの仲間が日本に渡ってきます(冬鳥)。
多くはロシア東部からですが、北極圏から渡ってくるものもいるとのこと。
河口で多くが群れているので、バードウォッチングにはもってこいです。カルガモのように、雄と雌が同じ模様をしているものはまれで、ほとんどが雄のほうが目立つ色と模様になっており、雌が地味です(性的二形)。
このあたりでは、マガモやヒドリガモ、オナガガモ、ヨシガモなどがよく見られます。
オペラグラスや双眼鏡があれば、楽しめますので、図鑑片手に出かけてみてください。
よくみると、体の黒いオオバン(ツル目クイナ科)もまじっていると思います。

いきものばんざい(14)

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ルリタテハ【4本脚? ~ルリタテハ~】鱗翅目タテハチョウ科

漢字で書くと「瑠璃立羽」。
字面もなかなか品のある名前ですが、このチョウは他に似たチョウやガが日本にはいませんので、見つけたらすぐそれとわかります。
黒い地色に白い紋、外側に美しい空色の帯を持ちます。
東南アジアにも分布し、日本が生息の北限となっています。
さて、ルリタテハに限らず、タテハチョウの仲間は前脚をたたんで胴体にぴったりくっつけており、何かにとまる時にも使いません。
つまりほぼ4本脚で生活しています。
前脚は、感覚器官として使われているようで、先端に生えた感覚毛で味を感じると考えられています。
いってみれば指先で味がわかるということ。
完全に感覚器になると、4本脚の昆虫が出現、ということになりますね。